プレデターズは、2010年公開のアメリカ合衆国の映画。『プレデター』シリーズの第3作目。ロバート・ロドリゲス製作のもと、惑星に集まった戦闘のエリートたちと新生プレデターの壮絶なバトルを描くSFアクション。世界中から集められた8人+1人の生存者の多様な戦闘スタイルとキャラクターが注目の3作目。
プレデターズ 映画批評・評価・考察
プレデターズ(原題:Predators)
脚本:20点
演技・演出:15点
撮影・美術:14点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計63点
多様な戦闘スタイルが見れるかといえば、ほぼそれはなく、サイバイバル要素とバトルロワイアル要素が薄く混ぜた感じで、まずまず楽しめる作品であるもののシリーズの中では新しさを感じることができなかった作品だった。ロドリゲス映画でお馴染みのダニー・トレホや13日の金曜日シリーズのジェイソン役デレク・ミアーズがプレデター(生け捕りにされている)役を演じるなど、マニア受けしそうな配役があるのに、ほとんど活躍することもなく、無駄遣いした感じだった。キャストも豪華なのに、シリーズの中でもっともB級映画感が漂っている。
プレデターズ あらすじ(ネタバレ)
傭兵のロイスは突如閃光に包まれ、気がつくとどこかの上空を落下していた。地面の直前でパラシュートが開き着陸するが、そこは得体の知れないジャングルであった。その後、すぐに同じように落下してきたエドウィン、クッチーロ、イサベル、ニコライ、ハンゾー、スタンズ、モンバサと合流し、医師と名乗ったエドウィン以外は、軍人や殺し屋など「殺人」のプロフェッショナルであるという共通点を持っていることが判明する。
8名はジャングルを脱出するため行動を共にし、やがて開けた場所に到着するが、空を見ると幾つかの大きな衛星が浮かんでおり、そこが地球でないことを理解する。そして未知の犬型狩猟動物の襲撃に遭い、自分たちが“狩りの獲物”であることに気づく。更に奥へ進むとロイス達は、多数の生物が殺され展示されている場所に到達する。そこは謎の狩人の「狩猟キャンプ」であった。そこで奇怪なオブジェクトに括りつけられたプレデターを発見する。イサベルによるとそれは、かつてアメリカの特殊部隊員を襲ったプレデター生命体の特徴に酷似しているという。
その後、10シーズンもの間、この惑星で隠れて生き抜いてきたというノーランドに生命を救われ合流、異星人達が建設した鉱山発掘の施設の隠れ家で敵の正体や特徴を知り、地球に帰還するために「彼ら」の宇宙船を奪うことを決意する。プレデターと戦う中、プレデターにも種族があり、大種族が小種族を虐待していることも知る。プレデターと集められた人間の戦い、あるものは相打ちに、あるものは負け、一人、そしてまた一人と狩人達の餌食になり命を落としてゆく。
今回の狩チームを全滅させ生き残ったロイスとイザベルが空を見上げると、かつての自分たちと同様に、何処かの星から拉致されてきた”次の獲物たち”が降ってくるのであった。
プレデターズ スタッフ
監督:ニムロッド・アーントル
製作:エリザベス・アヴェラン,ジョン・デイヴィス,ロバート・ロドリゲス
製作総指揮:アレックス・ヤング
脚本:アレックス・リトヴァク&マイケル・フィンチ
撮影:ギュラ・パドス
編集:アルメン・ミナジャン
音楽:ジョン・デブニー
配給:20世紀フォックス
プレデターズ キャスト
ロイス:エイドリアン・ブロディ
元アメリカ軍人の傭兵。同時に集められた面々の素性を正確に洞察するその観察眼から、イザベルからは元諜報部員とも推測されている。チームでの行動が嫌いな一匹狼の気質があるものの、戦闘能力の高さと豊富な知識から次第にリーダー性を発揮し、面々を牽引していく。ノーランドと合流後、地球に帰還するためにプレデター達の宇宙船を奪うことを決意する。劇中ではその性格から仲間にも名乗らなかったが、終盤においてミスター・ブラックを倒しイザベルに「ロイス」の名を明かした。プレデターズのコミックでは送り込まれる前は傭兵としてアフリカで反政府軍の掃討任務に就いていた。武装はドラムマガジン仕様のAA-12とマチェーテ。
イザベル:アリシー・ブラガ
イスラエル国防軍の女性スナイパー。ロイスと異なりチームでの行動を尊重するため単独行動するロイスとは衝突しがちだったが、戦いの中で次第に心を通わせていく。シリーズ第一作目での事件におけるプレデターの基本的情報を持っており、その特性をメンバーに伝えた。なお、『日曜洋画劇場』のテロップで彼女は「CIA」のメンバーであると誤って紹介されている。武器はデジタルスコープを装着したブレイザーR93とH&K HK45。幼少時代をマグダレン修道院の付属女学校で過ごした。当時から人に気配を察知されない特性を持っており、その才能がスナイパーとしての活動に役立っている。ソマリアやアフガニスタンでの従軍経験もあり、当時からプレデターの噂を耳にしている。
エドウィン:トファー・グレイス
医師。メンバーの中で唯一、ロイスが素性を推し量れなかった人物。胆力を欠く態度が目立ち、宇宙人との戦いでも囮にさせられる場面もあるほか、ノーランドのアジトを脱出する際メンバーとはぐれてしまう。職業上、毒物に詳しく、ニコライが触れそうになった植物に神経毒が含まれていることを警告した。気弱な人柄を装っているが、その正体は殺人鬼であり、助けに来てくれたニコライが撃たれた際に一瞬躊躇いを見せるもすぐに見捨てる、ノーランドの棲家でニコライから渡された彼の子供達の写真を使って「私には子供がいるんだ」と命乞いをする等、本性は狡猾で冷酷。異常者だが猟場では普通でいられるという理由で地球への帰還を拒否。イザベルを襲い麻痺させるが、ロイスにはその仮の振る舞いは通用せず、メスで一突きにされた挙句、ミスター・ブラックに対するブービートラップとして利用され爆死した。武器と言えるものは無く、メス(上記のニコライとのやりとりで神経毒の液を付着させた)を携帯している。なお、初登場時はパラシュートが木に絡まり宙づり状態で、「何か切る物はないのか?」と聞かれた際に「持っていない」と答えており、この時点で既に嘘をついていた他、ロイスがクッチーロを見捨てる指示を出した際は真っ先に従っている。ロイスはどの段階でエドウィンの正体が殺人鬼である事に気付いたか不明だが、素性を推し量れなかったエドウィンを最後まで疑い、プレデターのトラバサミにかかってニコライの写真を利用した時からエドウィンの芝居に気付いていた節がある。
クッチーロ:ダニー・トレホ
メキシコの麻薬カルテル暗殺集団「ロス・セタス」メンバー。ロイスとほぼ同じ地点に落下する。ドッグ・ハンドラー・プレデターの放った猟犬との戦闘の最中、プレデターによる囮に利用される。最終的にイザベルに撃たれて死亡したと思われていたが、実は既に死亡していた(描写はないが、右頬が食いちぎられているため猟犬に殺害された模様)。メンバーの中で最初に命を落とした。拉致前はメキシコ、ティフアナのラ・プレサ地区にいた。恐れ知らずの暗殺者であり、武装した警察官の集団に単身殴り込みをかけ全滅させるほどであった。武器は二丁のH&K MP5Kと彫刻装飾の施されたM1911A1。
ニコライ:オレッグ・タクタロフ
屈強なロシアのスペツナズの一つであるアルファ部隊の隊員。チェチェンでの戦闘の最中拉致され、出会った当初のロイスとクッチーロを敵と見なして攻撃した。義理堅い性格で毒物の警告を与えたエドウィンが囮にされた際は動揺を隠さず、ノーランドのアジトではぐれた際はただ一人救助に向かった。二人の子供の写真を持ち歩いている。
武器はM134ガトリングガン とトカレフTT-33で、前者は一作目での登場人物、ブレインが用いたものと同機種で、本作ではデスキャンプでの交戦で被弾して破壊された。ノーランドのアジトで手に入れたと思しきクレイモア地雷を使って、彼を殺そうとしたドッグ・ハンドラーを道連れに自爆して果てる。
ハンゾー:ルイ・オザワ
日本人ヤクザ(劇中では「ヤクザ」を「日本のマフィア」と説明)の殺し屋。左手の薬指と小指が詰められている。「口は災いを呼ぶ」を信条として滅多に口を開かず、初めて言葉を発したときはエドウィンに驚かれていた。似たような性分故か、ロイスとは息のあった行動をするシーンがある。普段は襟なしのスーツで身を固めているが、ファルコナー・プレデターとの一騎討ちの際に上半身裸になり、服で見えなかった体表一面に入れ墨が彫られていることが判明する。当初履いていた革の短靴がジャングルの地表に合わなかったため、素足で行動する。武器はベレッタ M92FS INOX。後にノーランドのアジトで日本刀を手に入れ、ファルコナー・プレデターと壮絶な一騎討ちを繰り広げ、相打ちではあったがプレデターの1人を倒すことに成功する。拉致前は日本の東京にいた。日本では数多くの人を殺し、「千年生まれるのが遅かった武士」と評される。しかし行き過ぎた殺しを長老に咎められ、代償として指を切り落とされた。なおここで登場する日本は「未だ忍者がいる」「天守閣のある城の外観をした寺院」といった形で描かれ、現実よりもコミカライズされた日本となっている。
スタンズ:ウォルトン・ゴギンズ
FBIに追われていた強姦殺人犯の死刑囚。死刑執行の二日前に拉致された。下品な性格でなにかと卑猥な台詞を吐き、特に真面目なエドウィンを閉口させている。劇中モンバサとはたびたび衝突するも、猟犬との戦闘中で彼に助けられ、彼がプレデターに殺された際は少なからず悔やんでいた。モンバサと衝突した理由は不明。武器はナイフのみでその貧弱さを嘆き、モンバサに武器を渡すよう迫っていた。後にノーランドのアジトで受刑服の下に防具を仕込み、バーサーカーに背後から撃たれたプラズマキャノンを防ぎ、そのナイフで逆襲して傷を負わせる。最期はミスター・ブラックに生きたまま脊髄と頭蓋骨を引き抜かれ絶命した(プレデターは果敢に反抗してきた獲物の頭蓋骨と脊柱に該当する部分をトロフィーのように収集する習慣を持っているとされる)。自身の妹の裸のタトゥーを入れる異常者であったが、死ぬ間際には自身を犠牲にして皆を逃がしており、ある程度の良識は持ち合わせていた模様。
モンバサ:マハーシャラルハズバズ・アリ
シエラレオネのRUFの兵士。登場時からスタンズとなにかと衝突しているが、猟犬との戦闘では彼を援護している。寡黙な性格。一行がデスキャンプに足を踏み入れた際、プレデターにより地表に仕掛けられたトラップで串刺しにされ死亡、死体もプレデターとの戦闘中にニコライの銃撃に被弾し、蜂の巣になった。拉致前はシエラレオネのマカリにいた。女子供でも撃ち殺す非情な兵士であったが、自分はその所業に相応しい最期を迎えるだろうという諦観も抱いていた。武器はAKMSとM1911A1。
ノーランド:ローレンス・フィッシュバーン
アメリカ軍空挺部隊出身の軍人。ロイスたちがやってくる以前に拉致され、サバイバル生活を送っていた。長い過酷な生活によってその精神に異常をきたしているためか、存在しない架空の誰かと会話する奇癖がある。プレデターや他の獲物の装備を手に入れ身に着けており、棲家の前にやってきたロイス達を一時的に匿い食料を与えたり水の場所を教えるが、実はロイス達を殺して装備や物資を奪おうと目論んでいた。これに対するロイスの反撃によって結果的にプレデターに隠れ家を発見され、ドッグ・ハンドラーにプラズマキャノンで無惨にも殺害されることになる。本人は「プレデターを2体か3体は殺した」「ここで7か10シーズンを生き延びた」と語っているが、真偽詳細は不明。
ミスター・ブラック・プレデター:ブライアン・スティール
バーサーカー・プレデターと呼ばれる大柄のプレデター種族のリーダー。肉食動物の顎骨と思われる物をマスクに飾っている。
ファルコナー・プレデター:ブライアン・スティール
文字通り鷹匠の役を務め、猛禽類に似た小型の無人偵察機を装備している。ハンゾーと一騎討ちで対決する。
ドッグ・ハンドラー・プレデター:キャリー・L・ジョーンズ
犬笛のようなものを使ってプレデターハウンドを操る。マスクに2本の牙が付いている。
クラシック・プレデター:デレク・ミアーズ
プレデター達の野営地に囚われているプレデター。第一作に登場したプレデターと似ている。バーサーカー・プレデターに比べると相対的に若干小柄なため、ノーランドが「小さい奴」と呼び、両者を「犬と狼の関係みたいなもの」と例えている。日本版パンフレットにはクラシック種は被支配階級であり支配階級にあたるバーサーカー種に隷属させられているという記述がある。
リバー・ゴースト・エイリアン:キャリー・L・ジョーンズ
プレデター達の獲物として集められた別種のエイリアン。檻に入れられ猟場に連れてこられた。ヒューマノイド型のように見えるが、昆虫のような顔をし、背中に翼か脚部のような器官がある。また体に虫を這わせている。他にも同族がいたが1人だけ生き残った。ロイス達が探検している途中に川沿いで出くわす。エドウィンをおとりに誘き寄せ、イザベルのライフル銃で狙い撃ちで射殺したかのように見えたが、弾は外れており実際はノーランドによって射殺されていた。
正式な名前はないが、元の案では川付近で発見され幽霊か幻のように見える予定であったことから、リバー・ゴーストという通称で呼ばれる。デザインをしたグレゴリー・ニコテロによると、フィギュア造形作家の竹谷隆之が制作した『強殖装甲ガイバー』のエロゥシブガイバーにデザインの影響を受けたという。
ロッキー(クレジット無し):アーロン・リチャードソン