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大脱走|戦闘シーンのない集団脱走を描いた異色の戦争映画。

大脱走
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大脱走は、1963年公開のアメリカ合衆国の映画。戦闘シーンのない集団脱走を描いた異色の戦争映画。第二次大戦中の出来事。ドイツの誇る、第3捕虜収容所に収容された連合軍将校たちが、大脱走を敢行した一大史実である。原作は当時英空軍スピットファイヤー・パイロットで、実際にこの大仕事に参加していたポール・ブリックヒル。1950年に出版された著書“ザ・グレート・エスケープ”は超ベスト・セラーになった。

大脱走 映画批評・評価・考察


大脱走(原題:The Great Escape)

脚本:40点
演技・演出:20点
撮影・美術:20点
編集:10点
音響・音楽:10点
合計100点(満点)

驚くべき実話を綴ったポール・ブリックヒルのベストセラー実録小説を、「荒野の七人」のジョン・スタージェス監督が壮大かつスリリングに映画化。人気男優スティーブン・マックィーン(終盤にバイクでジャンプする場面は伝説的)をはじめ、ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンソンら豪華なキャスト陣も各自の個性と魅力を遺憾なく発揮し、映画史上屈指の痛快アクション・エンターテインメントとなりました。ファンなら何度見ても手に汗握る傑作映画。

音楽はエルマー・バーンスタインで、彼が作曲した「大脱走マーチ」(The Great Escape March)は、当時ミッチ・ミラー合唱団が歌ってヒットし、また初公開時にスティーブ・マックイーンがドイツ軍から奪い取ったバイクで草原を疾走するシーンがその爽快さとともに話題となり、この映画の代表的なシーンとしてその後長く記憶されています。

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大脱走 あらすじ(ネタバレ)

新たに作られたドイツの北部第3捕虜収容所に、札つきの脱走常習者・連合軍空軍将校たちが運び込まれた。しかし早くも“心臓男”と異名をとったヒルツ(スティーブ・マックィーン)は鉄条網を調べ始めるし、ヘンドレー(ジェームズ・ガーナー)はベンチをトラックから盗み出す始末だ。

まもなく、ビッグXと呼ばれる空軍中隊長シリル(リチャード・アッテンボー)が入ると、大規模な脱走計画が立てられた。まず、森へ抜ける数百フィートのトンネルが同時に掘り始められた。それはトム・ディックハリーと名付けられた。全員250名が逃げ出すという企みだ。アメリカ独立記念日トムが発覚してつぶされた。が、ほかの2本は掘り続けられた。

しかし、あいにくなことに掘り出し口が看取小屋の近くだったため、脱走計画は水泡に帰し、逃げのびたのはクニー(チャールズ・ブロンソン)と、彼の相手ウィリイだけであった。激怒した収容所ルーゲル大佐が、脱走者50名を射殺したと威嚇した。やがて、“勇ましい脱走者”の生存者を乗せたトラックが到着したとき、ゲシュタポの車が収容所の入口に止まり、ルーゲルは重大過失責任で逮捕された。かくてドイツ軍撹乱という彼らの大使命は果たされたが、幾多の尊い生命が失われていった。

再び収容所に静けさが訪れたが、ヒルツやヘンドレイは相変わらず逃亡計画を練りあちらこちらでその調査が始まっていた。

大脱走 スタッフ

監督:ジョン・スタージェス
脚本:ジェームズ・クラヴェル,W・R・バーネット
原作:ポール・ブリックヒル
製作:ジョン・スタージェス
製作総指揮:ウォルター・ミリッシュ(クレジットなし)
音楽:エルマー・バーンスタイン
撮影:ダニエル・ファップ
編集:フェリス・ウェブスター
製作会社:ザ・ミリッシュ・カンパニー
配給:ユナイテッド・アーティスツ,ユナイト映画

大脱走 キャスト

ヒルツ:スティーブ・マックイーン
通称「独房王(The Cooler King)」。陸軍航空隊大尉。本作の主人公格。単独行動を好む一匹狼。 野球が趣味で、独房でもボールとグローブは欠かさない。常習犯といって良い程、脱走に執念を燃やしており、独房にいる間は彼の脱走への試みが篭ったボールの音を日夜鳴り響かせていた。入隊前は大学で化学工学を専攻、学費の足しに祭でバイクレースに参加していたらしく、ライダーとしてなかなかの腕前。ドイツ捕虜収容所に送られて早々、彼を狂気的な脱走癖の持ち主と睨んだルーガー所長と対立して20日間の独房行きとなる。以前の収容所では17回も脱走を試みた、とルーゲル所長宛ての報告書にあり、ヒルツが「18回だ」とルーゲル所長の発言を訂正したのは、この収容所に来るトラックからも脱走を試みた時の一回を加えたものである。独房で隣同士となったアイブスとはスピード競技の選手の経験がある者同士で意気投合した。

ヘンドリー:ジェームズ・ガーナー
通称「調達屋(The Scrounger)」。米国人だが、ヒルツたちのような米軍所属ではなく、英空軍の義勇飛行隊、いわゆる「イーグルスコードロン」所属であり、ゴフがそのようにヒルツに言っているシーンがある。階級は大尉。自身を「ちょろまかし屋」と自称する通り、わずかな隙を見てドイツ軍の物資を掏る術に長けており。集団脱走計画では脱走に必要な材料や道具の調達を担当し、保険証などの調達についてはおっちょこちょいな看守のウェルナーを部屋へ誘い、首尾よく財布ごと盗んだ。収容所に来てすぐに年齢も国籍も全く違う偽造屋のイギリス軍士官コリンと親しくなる。その友情から、脱走前に視力に異常を起こしたコリンを庇いつつ、脱走後に乗車した列車から二人で飛び降り、軍用飛行場から練習機を盗み、一路アルプス山脈を越えてスイスを目指すが、アルプス山脈を目前にしてエンジンの不調に見舞われて不時着し、捕らえられてしまう。

ロジャー・バートレット:リチャード・アッテンボロー
通称「ビッグX(Big X)」。集団脱走計画の中心人物で階級は少佐。脱走した捕虜の捜索にドイツ軍の兵力を割かせ、連合軍の反攻目前の状況下でのドイツ軍の後方かく乱を目的として250名もの集団脱走計画を企てる、頭脳に秀でた脱走のカリスマ。捕虜収容所では脱走用トンネル三本を計画し、それぞれ「トム」、「ディック」、「ハリー」と命名した。SSにマークされるほどの知名度の高さが災いし、結局捕らえられた後の移送中に、休憩の名目でトラックから降ろされた時、マックに「組織作りにトンネル作業が私の生きがいだった。今思うと幸せだった」と語ったが、直後に一方的な機銃掃射を受けて死亡した。

ラムゼイ:ジェームズ・ドナルド
収容所における連合軍捕虜の先任将校(The SBO)で階級は大佐。片足が不自由で杖を突いている。捕虜側の代表としてドイツ側との連絡役を負う。常に沈着冷静であり、ルーゲル所長からも信頼されている。バートレットたちを陰ながらサポートする。

ダニー:チャールズ・ブロンソン
通称「トンネル王(The Tunnel King)」。ポーランド人で階級は大尉。脱走計画では脱走用トンネルの掘削作業を担当する。子供の頃からの閉所・暗所恐怖症でありながらも、そのことを押し殺してトンネルを掘り続ける。作業中に頻発する落盤事故からトラウマが甦り、一度は脱走を拒んだが、ウイリーの説得で参加を決意する。ロシア語の「ЛЮБЛЮ(”私は愛している”の意)」の単語だけは知っている。ウイリーの無二の親友で、屈託のないやさしい男である。

コリン・ブライス:ドナルド・プレザンス
通称「偽造屋(The Forger)」。階級は大尉。戦時中は航空写真の分析・解析を担当していた。バードウォッチングが趣味で、ミルクティーを愛する典型的な英国紳士。身分証の偽造などの精密作業で長時間目を酷使し続けた結果、急速に視力が衰えて(進行性近視)、ほとんど失明状態となってしまった。ロジャーが脱走の足手まといになるとして脱走のメンバーからはずそうとしたが、ヘンドリーが反対してそして彼の助力で脱走に参加した。

セジウィック:ジェームズ・コバーン
通称「製造屋(The Manufacturer)」。オーストラリア人で階級は中尉。トンネル掘削用のツルハシ・シャベルからエアダクトまで、所内のあらゆる物を利用して脱走用の諸道具を作り上げる。集団脱走の際には誰よりも大きなトランクを持って参加する。

フォン・ルーゲル:ハンネス・メッセマー
所長(The Kommandant)。ドイツ空軍大佐。「腐った卵を一つの籠に」という思惑で捕虜を集めたが、結果、手に余るほどの脱走のプロたちの集いを作り上げてしまった。敵国軍人を憎しみの対象としては見ておらず、「捕虜の本分は逃走による敵地かく乱」との連合軍捕虜の主張に一定の理解を示す。人徳者で、ドイツ空軍の軍人であることに誇りを持ち、冷酷非情さを誇るかのような親衛隊やゲシュタポを快く思っていない。そのためナチス式敬礼にも消極的。ロジャー・バートレットが収容所に連れてこられた際、ゲシュタポに「彼からは一時も目を離すな」と言われたが、ゲシュタポが去った後すぐに部下に手錠を外すように指示し、他の捕虜と同じように扱った等、自身が空軍所属という事もあってか、英国空軍捕虜に対して甘い一面もある。そういった性格は作中の脚色ではなく、小説版大脱走の著者であり、実際に捕虜収容所にいたポール・ブリックヒルによれば史実である。胸元に第一次世界大戦におけるドイツ軍の最高勲章、プール・ル・メリット勲章が確認できる。終盤で多くの捕虜を逃がしてしまったことの責任を問われて解任され、収容所を去る。モデルとなった実在の人物はフリードリヒ・ヴィルヘルム・フォン・リンダイナー=ヴィルダウ大佐。

アシュレー=ピット:デヴィッド・マッカラム
通称「分散屋(Dispersal)」。彼だけは空軍ではなく英国海軍航空隊の士官で、階級は少佐。トンネルから出した地中の土と屋外の土とを混ぜて誤魔化すのにズボンを使った方法を考え付き、土処理をうまく分散させて脱走計画に貢献した。脱走の前からドイツ側にマークされていたロジャーを心配して付いて来ていたらしく、脱走後に乗った列車から降りた駅での検問でロジャーに気が付いたゲシュタポのクーンに飛びかかり、自ら周囲の耳目を引き付ける形で犠牲となってロジャー達を助けた。

マクドナルド(マック):ゴードン・ジャクソン
通称「情報屋(Intelligence)」。地獄耳の情報通で階級は大尉。収容所内のあらゆる情報を収集、脱走メンバーに伝達する。語学に堪能で、脱走前にフランス語やドイツ語の会話能力の試験を担当した。ロジャーの参謀格として行動を共にする。スコットランド出身。脱走後はロジャーとフランス人になりすまし、列車内の検問を切り抜ける。バスに乗り継ごうとした際にフランス語を話す担当官の検問をいったんパスするが、心の緩みを突かれ、担当官からの「Good luck」という言葉掛けに思わず「Thank you」と答えてしまい正体が露見し、走って逃げるが捕まってしまう。

ウイリー:ジョン・レイトン
通称「トンネル王(The Tunnel King)」。階級は大尉。脱走計画では無二の親友ダニーと共にトンネル掘りを担当し、脱走の際に、かつてのトラウマから脱走を拒むダニーを説得し、脱走に成功する。優しい性格が特徴。

アイブス:アンガス・レニー
エンドクレジットでは「モグラ(The Mole)」と表記。階級は中尉。序盤でルーゲル所長に対して侮辱的な行為に出たためにヒルツと共に独房行きとなった。その後もヒルツとコンビで脱走、逮捕、独房行きを繰り返す。小柄(自称身長5フィート)で地元では騎手をしていた。ノリの良い明るい表情とは裏腹に、長年の収容所暮らしで精神的に追い詰められていた。独立記念日に完成目前となった脱走トンネル「トム」が発見されて潰されたショックに耐えきれず、発作的な脱走行為に駆られたことで射殺されてしまう。だが、その結果、それまで一匹狼を貫き通していたヒルツが集団脱走計画に協力するきっかけを生み出した。スコットランド出身。

カベンディッシュ:ナイジェル・ストック
通称「測量屋(The Surveyor)」。階級は大尉。トンネル掘りの作業音の偽装のために合唱隊を組織し、その指揮も担った。彼の測量が正確でなかったことが脱走時に大変な問題となる。また、脱走時トンネルから出た際に躓き転んでしまい、ドイツ兵に気づかれるきっかけとなっている。

ウェルナー:ローベルト・グラフ
通称「白イタチ(The Ferret)」。看守の一人。身分証明書の偽造元を調達するために親しげに接してきたヘンドリーに隙を突かれ、あっさり財布を盗まれる。独立記念日に偶然脱走トンネル「トム」を発見した。

ゴフ:ジャド・テイラー
階級は中尉。ヒルツに「第14収容所のなじみがいない」と言っている。中盤でヒルツ、ヘンドリーと共に独立記念日のために芋から蒸留したウォッカ(日本語字幕・吹き替えでは焼酎)を密造する。ヒルツが独房へ送られるごとに、愛用しているボールとグローブを手渡していた。それはラストシーンまで続く。

クーン:ハンス・ライザー
ゲシュタポの一人。「ビッグX」の壊滅と、ロジャー・バートレットの逮捕に執念を燃やしている。空軍捕虜収容所では「脱走したら処刑する」と宣言。フランスの駅で脱走したロジャーを遠くから発見して拳銃を取り出して近づこうとしたところ、その危機を感じたエリックに妨害され、取り出した拳銃をエリックによって自らの胸に押し当てられた形で暴発させてしまい、命を落としてしまった。

シュトラハウィッツ:ハリー・リーヴァウワー
看守長。有能な空軍下士官。入所初日の脱走も素早く見抜き、「初日だからお互いに愚かな行為が多い」と不問に付す。

ソレン:ウィリアム・ラッセル
「警備屋(Security)」。看守のドイツ兵達の行動を常に監視、合図ひとつですぐに脱走のための準備作業を中止したり、偽装できる警戒体制を敷く。

ポーゼン:ロバート・フライタッグ
ルーゲル所長の副官。階級は空軍大尉。ルーゲルの解任後、後任として所長に就任する。

プライセン:ウルリッヒ・バイガー
ゲシュタポの脱走捕虜の探索責任者。かつて脱走者として逮捕したバートレットへ厳しい尋問(拷問)を加えたが集団脱走組織の全貌は解明できず、空軍捕虜収容所にその身柄を預けに来る。のちにゲシュタポによって捕まってしまったバートレットと再会を果たす。ハゲ頭、チョビヒゲ、メガネの外見と皮肉な物言いが特徴。

ヘインズ:ローレンス・モンテイン
ニモと同じ「陽動役(Diversions)」。ニモと行動を共にすることが多い。入所初日にセジウィックと共に「ケンカ」を演じてみせ、“最初の脱走”に貢献、自らも参加するが失敗する。その「ケンカ」の時、セジウィックに「カナダのコソ泥」と言われている。脱走時はドイツ兵になりすまし、事前にマックによる検問突破のための会話訓練の際に、「ハイル・ヒトラー」と敬礼して見せたが簡単な英語のトリックに引っかかって注意された人物。脱走には成功したものの捕まり、ゲシュタポに処刑される。

グリフィス:ロバート・デズモンド
通称「仕立て屋(Tailor)」。軍服、カーテン、毛布やそのほか所内のあらゆる物を駆使して脱走用の平服やコート、ドイツ軍の制服などを仕立てていく。脱走の順番待ちの際、アクシデントから中々、合図が出ない状況になった窮地を察しないまま、しびれを切らせて飛び出してしまった姿をドイツ兵に目撃されて発砲を招いてしまい、収容所側に集団脱走が露見してしまった。

ニモ:トム・アダムス
「陽動役(Diversions)」。脱走はできたものの、ドイツ軍に見つかり逮捕されて収容所へ連れ戻される。

デートリッヒ:ゲオルグ・ミケル
フリック:ティル・キーヴェ
クラマー:ハインツ・ヴァイス
シュタインナッハ:カール=オットー・アルベルティ

大脱走 予告編・無料動画


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