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ラビナス|血もしたたる恐怖の味。1800年代実際に起こった人肉食事件とネイティヴ・アメリカンの伝説を元に、カニバリズムを描く問題作。

映画 ラビナス
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ラビナスは、1999年公開のアメリカ合衆国の映画。1800年代実際に起こった人肉食事件とネイティヴ・アメリカンの伝説を元に、カニバリズムを描く問題作。原題の Ravenous とは、貧欲という意味。日本でのキャッチコピーは「血もしたたる恐怖の味。」本作はドナー隊の遭難およびアルフレッド・パッカー事件から構想を得たカニバリズム映画であり、監督は「司祭」などで知られるアントニア・バード、脚本はこれが第一作目のテッド・グリフィン。彼はロバート・カーライル演じるコルホーンのキャラの構想にアルフレッド・パッカーを挙げている。

ラビナス 映画批評・評価・考察


ラビナス(原題:Ravenous)

脚本:25点
演技・演出:14点
撮影・美術:15点
編集:7点
音響・音楽:5点
合計66点

アルフレッド・パッカー事件(1873年から翌年にかけてアメリカ合衆国コロラド州で発生した強盗殺人および人食事件である。)のようなカニバリズムを題材としています。
物語は2部構成のようになっていて、前半のロバート・カーライルが語る遭難と飢餓に苦しみ仲間を喰ったエピソードが非常にミステリアスで恐怖心を煽る内容です。
しかし、この話が終わり中盤から終盤までさっきまでの気持ち悪さや恐怖心はどこへやら!人肉食で超人になれるみたいな話になっていき、格闘アクション主体の内容に変わってしまう。斬新な展開なものの、A級映画が突然B級映画に舵を切っていくというとんでも映画となっています。

アルフレッド・パッカー事件
1873年11月、ユタ州ソルトレイクを出発した19名のパーティーがいた。彼らは世界を熱狂させたゴールドラッシュの波に乗り、一攫千金を狙った一行であった。彼ら19名のガイド役を務めたのが探鉱者(山師)のアルフレッド・パッカー(アルフレッド・G・「アルフェルド」・パッカー、Alfred G. “Alferd” Packer)である。さて、山中で金を求める19名だったが、そのうち10名は、途中でたどり着いた集落のインディアンから「金など見つからない。あきらめて引き返したほうがよい」との忠告を受け、それに従って山を下りた。諦められない残りの9名は一攫千金を求め、なおも山中で金を探し求めていたが、さらに4名が「パッカーが信用できない」と判断して引き返したが、その4人のうち2名が途中で遭難死した。山に最終的に残った5人のうち4名も結局生きて戻ることはなかった。
翌年の3月になって、パッカーがただ1人で戻ってきた。4名に置き去りにされたと主張していたが、その割には血色もよく、多額の金銭を持っていた。彼はあちこちの酒場で山中での武勇伝を言いふらしていたが、話すたびに内容が異なっている。そのため、彼が4人を殺したのではないか、との噂が立ち始めた。
そんな折、2人のインディアンが保安官を尋ねてきた。山中で白人の肉を拾ったという。その肉には明らかに刃物で解体した形跡があったため、パッカーが4人を殺し、死体を食べた疑いで追及された。それに対してパッカーが語ることには、「食料不足のために共食いが始まり、弱いものから殺害された。最後に生き残ったベルという男に襲われたので、反対に彼を殺害し、その肉を食って生き延びた」。これが事実であれば、パッカーの行いは正当防衛であり、生き残るためには仕方のないことだったと見なせる。
その後、4人の死体が発見された。そのうち3人の後頭部には銃撃を受けた痕跡があり、もう1人は頭部を粉砕されていた。さらに、現場近くの小屋の中から4人の犠牲者の所持品が発見された。パッカーの証言は明らかにデタラメで、彼が4人全員を殺害し、春が来るまで遺体を「食料」としていたのは間違いない。

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ラビナス あらすじ(ネタバレ)

1847年。アメリカ・メキシコ戦争で仲間の血を飲み、敵地でただ一人生き残ったジョン・ボイド大尉は、帰還を祝う席で出されたステーキを見て吐いてしまい、スローソン将軍の機嫌を損ね、シエラネバダ山脈の西にあるスペンサー砦に赴任させられる。

ボイドは赴任先で原住民のマーサとジョージ、酒豪のノックス医師、神の使者を自認するトフラー2等兵、楽天家のライク2等兵、薬漬けのコックであるクリーヴス、彼らをまとめるハート大佐と出会う。このあたりは、冬になるとかなり雪深いというのに死にかけの男が倒れているのが発見される。

コルホーンと名乗るその男は、仲間と旅の途中で遭難、洞窟に避難し、食料がなくなるとアイヴス大佐というガイドが死んだ者を調理して仲間と食べていたという。しかし、腹を空かせていたアイヴスはついに仲間を殺して食い始め、コルホーンはたまらず逃げてきたのだ。まだ洞窟に仲間のマクレディ夫人とアイヴス大佐が残っている事を聞いた彼らは、救助へ向かう。ネイティブ・アメリカンのウィンディゴ伝説では、人肉を食った者は強くなるので注意しろ、とジョージは言う。

一行が救助へ向かって二日経った。トフラーは人骨を発見するが足を滑らせ崖から落ちてしまう。同夜、トフラーはコルホーンが自分をなめたと叫び、コルホーンは「自分でもなぜこんなことをしたのかわからない、怖いので縛ってくれ」と言い出す。一行はようやく洞窟を発見し、中へ入るボイドとライクだったが、人骨だけが見つかった。ライクが「あいつが騙した」と叫ぶが、もう遅かった。

出てきた彼らはハート大佐が倒れているのを発見。トフラーも襲われて、叫び声が聞こえるほうへ進むと、コルホーンが現れる。なんとか崖まで追い詰めた二人だったが、ライクが殺されてしまう。ボイドに近づいてくるコルホーン。銃でコルホーンを撃つが死なず、ボイドはついに崖から飛び降りる。重傷を負ったボイドは草木の根を食うが腹の足しになるはずもなく、苦渋の決断でライクの肉を食って生き延びる。

彼はなんとか砦に戻り、クリーヴスに見つけられた。その後、ノックスの手当を受けて休んでいると、ふいに恐怖を感じてマーサにどうやったらウィンディゴを止められるのか聞く。マーサは「命を与えるしかない」と答える。

そんなある日、スローソン将軍がハート大佐の後任としてアイヴス大佐を連れてきた。その姿がコルホーンと瓜二つだったのでボイドは怖くなった。ボイドは「アイヴスはコルホーンで、皆を殺した犯人だ」と言うが、食物の補給のために出かけていたのでコルホーンを知らない仲間はこの話を信じなかった。ノックスは、酒びたりだったので記憶が曖昧だったが、「彼がコルホーンなら、ボイドが肩に撃ったと言った銃弾の跡があるはずだ」と言う。アイヴスは肩を見せるが、銃弾の跡はなかった。

その日の夜、アイヴスは、もともと体が弱く、結核を患っていたが、ウィンディゴ伝説の話を聞いて人肉を食べたところみるみる体が強くなったとボイドにだけ話した。ボイドは彼を殺そうとナイフを向けるが、他の仲間に見つかり、勘違いされてボイドは手錠をかけられ部屋に監禁されてしまう。

なかなか姿を現さないクリーヴスを呼びに、砦中を探すマーサは、彼と家畜の死体を発見する。マーサはボイドの犯行を将軍に報告するため、スペンサー砦を後にする。そして、一人になったノックスは殺されてしまう。部屋に誰かが近づく足音が聞こえ、次は自分の番かと考えたボイド。だがなんと、扉を開けて出てきたのはハート大佐だった。彼はコルホーンに肉を食わされ生き延びていた。クリーヴス、ノックスと家畜を殺したのは大佐だった。

コルホーンは、この砦の近くを通る開拓者(マニフェスト・デスティニー)を食ったり、人肉食いの仲間にしたりしようと考えていた。そしてコルホーンは、ボイドに人肉を食い仲間になろうと提案をしてきた。それを拒否するボイドは、コルホーンにナイフを突き刺され、瀕死の状態になる。生きるか死ぬかの選択を迫られたボイドはノックスの肉が入ったシチューを食べる。

人肉を食ったことで回復したボイドは、大佐にコルホーンを殺させてくれと頼み込む。大佐はボイドの手錠を外すが、「こんな事をしてまで生きているのは嫌なんだ」と言い、ボイドに自分を殺すよう言う。ボイドは大佐の喉をナイフで切りつけて殺す。

ボイドは勇気を出してコルホーンに戦いを挑み、死闘の末、2人は大きなトラバサミの罠に挟まれる。コルホーンは、「お前が先に死んだらお前を食う」と挑発するが、ボイドより先に息途絶える。そこへ、マーサと将軍の一行がやってくる。将軍はシチューを見つけ、それが人肉の入ったものとは知らずに口にする。

マーサがコルホーンとボイドを見つけると、彼女は無言で扉を閉め、その場を去る。そしてボイドはゆっくりと目を閉じ、絶命する。

ラビナス スタッフ

監督: アントニア・バード
製作: アダム・フィールズ ,デヴィッド・ハイマン
脚本: テッド・グリフィン
撮影: アンソニー・B・リッチモンド
音楽: マイケル・ナイマン,デイモン・アルバーン
配給:20世紀フォックス

ラビナス キャスト

ジョン・ボイド大尉:ガイ・ピアース
コルホーン(アイヴス大佐):ロバート・カーライル
クリーヴス:デヴィッド・アークエット
トフラー2等兵:ジェレミー・デイヴィス
ハート大佐:ジェフリー・ジョーンズ
スローソン将軍:ジョン・スペンサー
ノックス少佐:スティーヴン・スピネラ
リンドゥス:ビル・ブロークトラップ

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