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極道の妻たち 三代目姐|私、一万五千人の暴力(こども)を相続しました。権力、愛にまみれた極道界を生き抜く極妻を描く

極道の妻たち 三代目姐
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極道の妻たち 三代目姐(ごくどうのおんなたち さんだいめあね)は、1989年公開の日本映画。主演に三田佳子を迎えた「極道の妻たち」シリーズの第三作目にあたる。権力、愛にまみれた極道界を生き抜く極妻を描く。本作では、兵庫県を舞台に組の跡目争い、組長妻と一人の組員との親子愛とも男女の恋ともつかない情愛、さらに彼を巡る組長妻を含めた3人の女たちの争いが描かれている。キャッチコピーは、「私、一万五千人の暴力(こども)を相続しました。」。

極道の妻たち 三代目姐 映画批評・評価・考察


極道の妻(おんな)たち 三代目姐

脚本:25点
演技・演出:13点
撮影・美術:14点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計66点

 シリーズ3作目は、『仁義なき戦い』を感じる脚本と萩原健一の圧倒的存在感が全面に出た作品です。今作品の主人公三田佳子の演技力は絶品ですが、微妙な脚本が足を引っ張っているように思えました。演出面もショーケンが出過ぎてるようにも見えるので、主役を食っているところがあります。三田佳子が死んだショーケンの目を閉じようとしても決して目を閉じないシーンはインパクト抜群でしたし、合わせて演技をする三田佳子も役者だなと思えました。
 若手枠で出演している爽やかな坂上忍なんですが、現在よりもこのころの方が演技上手です。坂上忍は年齢とともに錆びていく俳優も珍しいです。コニタンこと小西博之の演技がヤクザに見えないところやこれまでに比べると控えめなかたせ梨乃の演技が残念です。ショーケンとの絡みが独特だった吉川十和子のヌードはシリーズでも一番とも思える印象に残るシーンでした。

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極道の妻たち 三代目姐 あらすじ(ネタバレ)

兵庫の三代目坂西組組長妻・坂西葉月(三田佳子)が入院中の夫(丹波哲郎)の世話をしていた頃、服役中だった組員・赤松徹郎(萩原健一)が出所してくる。翌日、赤松は兄貴分の組員・寺田竜吉(成田三樹夫)から“じょうしん会”の二代目・木曽(浜田晃)と盃を交わすよう告げられる。8年前坂西組とじょうしん会は抗争状態で、その後終結したがわだかまりを持っていた赤松は、寺田の話を断ってしまう。夫婦で赤松を気にかけていた葉月は寺田を支えて坂西組を守り立てるよう告げ、改心した彼は寺田に詫びることにする。

赤松は高級クラブで寺田に詫びを入れようとするが、直後に赤松を狙った襲撃未遂事件が起きたことで曖昧に終わってしまう。その襲撃の直前、ホステス・野方操(かたせ梨乃)は襲撃犯の男から有り金を託され、彼の妹・松江清美(吉川十和子)に渡すよう頼まれていた。その後夫を亡くした葉月は、寺田に遺言がなかったことを伝えた後組長代行に任命し、跡目となる四代目を決めるよう告げる。四代目候補者となった寺田と赤松は、数週間後の幹部会の入れ札(投票)で票を多く得た者が跡目を継ぐこととなる。

霊代という立場上入れ札には直接関わらない葉月だが、以前から赤松に恋愛に似た感情を持っていたことから彼の跡目襲名を願う。赤松と2人きりで会った葉月は、「組長だった夫の魂を受け継ぐのはあんたしかおらへん」と彼を激励する。寺田は事を有利に運ぶため木曽を坂西組幹部に加入させるが、赤松は事務所を訪ねた操から「襲撃犯はじょうしん会組員」と知らされる。この証言で赤松は木曽の幹部会除名を迫るが、後日寺田と木曽は襲撃事件を“薬物中毒者の犯行”に仕立て上げて赤松の訴えを退ける。

そんな中弁護士(大門正明)から突然夫の遺言の存在を知らされた葉月は戸惑い、今しばらく弁護士に遺言を預かってもらう。襲撃犯との約束を果たした操は清美の人柄を気に入って自宅に住まわせ、操は恋人となった赤松からとある売り物件の高級クラブを買い取る。実はそのクラブの前所有者は坂西組組員妻で、話を聞いた葉月は店に訪れて赤松を巡って操と女の火花を散らし、組員妻たちを店内で暴れさせる。葉月が夫の遺産整理を終えて故郷に戻った後、幹部会の入れ札により四代目は寺田に決まるが赤松は納得していなかった。

組員を使って木曽を殺した赤松は警察に連行されるが、「彼と部屋にいた」との清美のアリバイ証言により釈放される。清美の証言聞き取りに同席した操は彼女が赤松に抱かれたことを知って追い出すが、清美に心が移った彼は操から店を奪って去っていく。赤松に裏切られた操は人(坂上忍)を使って彼を亡き者にし、遺体安置所に駆けつけた葉月は彼の死に激しいショックを受ける。寺田同席のもと弁護士から跡目に関する夫の遺言を聞いた葉月は、それを破り捨てた後マスコミの前で自ら跡目を継ぐことを宣言するのであった。

極道の妻たち 三代目姐 スタッフ

監督:降旗康男
脚本:高田宏治
原作:家田荘子
企画:日下部五朗
企画協力:湯山雄介
プロデューサー:奈村協,妹尾啓太
撮影:木村大作
美術:井川徳道
音楽:三枝成彰
録音:伊藤宏一
照明:増田悦章
助監督:長岡鉦司
スチール:中山健司
配給:東映

極道の妻たち 三代目姐 キャスト

坂西葉月三田佳子
三代目坂西組組長坂西武雄の妻。赤松が子供の頃から自宅で一緒に暮らしてきたため夫妻にとっては実の子のように接している。宝塚歌劇団上がりの元女優で、武雄とは周りの反対を押し切って結婚しヤクザ組長の妻となり約20年間支えてきた。両親を早くに亡くしており、坂西との間に子供はおらず身内は夫のみ。自身と坂西のどちからかは不明だが実家が瀬戸内海の島にある。坂西の死後は資産の整理などをしながら、赤松のことを心配しながら時々2人だけで会ってその都度助言したり励ます。

赤松徹郎萩原健一
坂西組中堅組員で坂西組きっての行動派。寺田の舎弟。葉月から「てっちゃん」と呼ばれている。子供の頃から坂西組組長夫妻に育てられてきたため、2人への忠誠心に厚い、過去に“じょうしん会”の先代組長を殺し、冒頭で8年間の刑期を終えて出所する。作中では、葉月に異性として好意を持っているという噂があるが、その後操や清美と男女の関係となる。寺田と親しくしていたが、四代目の跡目に絡んで彼との間に徐々に溝ができる。

寺田竜吉成田三樹夫
坂西組傘下の寺田組組長。ヤクザとしての赤松のオジキ。インテリヤクザ風のドライな考え方の持ち主。坂西とは終戦の頃から苦労を共にしてきた仲。狡猾な性格で表向き三代目夫妻や赤松とも親しく接するが、その裏でヤクザ界でのし上がる機会を虎視眈々と狙う。坂西の死後、遺産などを整理する葉月のもとに時々訪れ、跡目に関して彼女の本心を探り始める。

野方操かたせ梨乃
野方組組長の妻。傷害の罪を起こして2年半服役し冒頭で出所した。服役中に組が解散になったことを知る。その後は歌絵の高級クラブでホステスとして働き出し、その後売りに出されたクラブを買い取って「ROSE TATTOO」(ローズ・タトゥー)のオーナーとなる。赤松の恋人となるがその後彼を巡って葉月や清美とトラブルになる。

荒木太坂上忍
元野方組組員で、現在はレンタルビデオ屋を経営している。組長の妻だった操を慕っており、彼女に頼まれて夜の街で働く清美を探して引き合わせる。その後も操が始める高級クラブの権利金を業者に支払うなど彼女からの頼まれ事を色々と引き受ける。

松江勝巳田中隆三
じょうしん会の組員で鉄砲玉。先代組長派で彼を殺した赤松を恨みを抱いている。坂西組の高級クラブに一般客を装って訪れ、たまたま接客したホステスの操に清美に渡す金を託した後、赤松を銃で襲撃する。

松江清美吉川十和子
勝巳の妹。宗右衛門町の風俗店「スキャンドール」で働いている。操に拾われて居候生活をさせてもらい、彼女の自宅で家事をしながら夜はローズ・タトゥーのホステスとして働き始める。気立てが良く真面目で素直な性格。

阿波隆行綿引勝彦
坂西組の赤松派幹部。坂西組傘下の組に所属し、赤松を四代目にすることを望む。寺田とは考え方にやや開きがあり対立することがある。幹部会のメンバーの資格は、三代目の舎弟か直系若衆に限られているため、彼と盃を交わしていない木曽の加入に異議を唱える。数日後赤松組組事務所に訪れ、葉月を味方につけて寺田と絶縁すべきと赤松に訴える。

明神孝弘小西博之
赤松組組員。出所したばかりの赤松に付き添い、高層ビルの一室にある寺田の新しい組事務所の設備に赤松組組事務所との差に驚く。その後遺体安置所で赤松の遺体と対面する葉月に付き添う。

寺田歌絵新藤恵美
寺田の妻。坂西組妻の中では、葉月に継ぐ立場。大阪のキタ(北新地辺り)にある高級クラブ「モンパルナス」のオーナー兼ママ。最近の葉月の様子から、坂西の病状が良くないことを推測し寺田に不安な気持ちを伝える。

阿波友見西川峰子
阿波の妻。以前から組長を悪く書き連ねるマスコミに腹に据えかねており、組長が入院する病院前に集まる報道陣に文句を言う。自宅の水槽でピラニアを飼っている。組員妻たちによる葉月のお別れ会の席で、歌絵の店だったクラブが他の人に買われた後新装開店し、新しくママとなったのが赤松の恋人(操)であることを伝える。

晶子芦川よしみ
病院から出てきた葉月をマスコミからガードする。女癖が悪い旦那のことで葉月に相談する。後日操のクラブの開店日に仲間の妻たちと集団で冷やかしに行く。

光江速水典子
過去に坂西に数人の妾がいたことで葉月に傷つかなかったのかを尋ねるが、彼女の懐の広さを知って感心する。

良美春やすこ
感情豊かな性格で、他の組員妻と共にマスコミに囲まれた時はテレビカメラにピースをしたり、葉月の送別会では別れを惜しんで涙するが、直後に機嫌を直して笑顔でカラオケを歌うなどする。

坂西武雄丹波哲郎
坂西組三代目組長。葉月の夫。心臓が悪く冒頭で入院生活を始める。作中では、日本最大のヤクザ組織を誇り組員15,000人ほどを抱えているとのこと。自身が倒れたことで一部マスコミから「これを機に警察が坂西組を壊滅させようとしている」と言われている。葉月が宝塚で女優をしていた頃に2ヶ月間の公演を毎日通いつめ、その後彼女と結婚。大阪の街について、「綺麗なものも汚いものも飲み込む極道のような街」として愛している。好きな酒は、ロマネ・コンティ。

花井由利子加茂さくら
葉月の友人。ピアノバーのママで、自らピアノを弾いて聞かせる。葉月とは宝塚時代からの付き合い。葉月が、美里と赤松を結婚させようとしているのではないかと心配する。

花井美里財前直見
由利子の娘で、彼女のバーで働く。朗らかで人当たりのよい性格でしっかり者。葉月のことを「葉月のおばさま」と呼び、彼女と親しくしている。自称“葉月のファン”で、タカラジェンヌからヤクザの妻となった彼女に憧れていることから極道の世界に興味を持っている。

結城弁護士大門正明
入院中の坂西から遺言状を預かっており、彼の死から数日後銀行の貸し金庫に保管される遺言の存在を葉月に伝える。また、亡くなった坂西の魂を受け継いで最後の締めくくりをするよう、葉月に助言する。

野方淳之助小松政夫
元野方組組長。十三 (大阪市)でヤクザを小さい組を従えている。女好きで浮気を繰り返していたため、操に銃で撃たれてケガを負わされたことを根に持ち、彼女から離婚届けに判を押すよう頼まれているが断り続けている。

漆畑青舟内田朝雄
“関東どうしゅう会”の会長(理事長)。坂西の葬儀では、葬儀委員長を務める。葉月の慰労会に出席し乾杯の音頭を取る。寺田に目をかけており、葉月と赤松の今後の動きに注意するよう忠告する。

本橋市兵ヱ藤岡重慶
京都本橋組総長。葉月の慰労会に出席する。葉月のファンらしく個人的にツーショット写真を撮ってもらう。

児島貫一上田耕一
寺田組幹部。寺田に特に信頼されているようで行動をいつも共にしている。坂西組の幹部会では進行役を務め、また未亡人となった葉月に対して遺産や今後の生活について話し合う。

木曽忠久浜田晃
寺田組の傘下である、じょうしん会の二代目組長。寺田の参謀役を務める。経理のベテランで実業家顔負けの経済通。赤松に「先代組長を殺したことは根に持っていない。組長とは考え方も違う」と告げて、兄弟の盃を交わすことを申し出る。坂西の死後、坂西組幹部会に新規加入し会員となる。

大宅謙吉本間優二

極道の妻たち 三代目姐 予告編・無料動画


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