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極道の妻たち|愛した男が、極道だった。五社英雄監督がヤクザ社会の裏側で生きる妻たちの泣き笑い、生き様をリアルに描く。

極道の妻たち
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極道の妻たち(ごくどうのおんなたち)は、1986年公開の日本映画。任侠映画の世界では脇役であった’極道の妻’に焦点をあて、’強い女’を描く異色の作品。家田荘子の原作ルポルタージュをベースにした大ヒットシリーズ’極妻’の記念すべき第1作である。五社英雄監督がヤクザ社会の裏側で生きる妻たちの泣き笑い、生き様をリアルに描く。

極道の妻たち 映画批評・評価・考察

極道の妻たち [ 岩下志麻 ]
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極道の妻たち(ごくどうのおんなたち)

脚本:23点
演技・演出:14点
撮影・美術:17点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計68点

 極道の妻を描くということは、こういうことだと言わんばかりの脚本でしたが、演出がもはやギャグだと思えるくらいハードボイルドでした。それに脇役たちがビーバップハイスクールの面々の為、あっ菊リンだ!あっノブオだ!あっミノルだ!おっヒロシだ!とそこが気になってしまって話が入ってこないw。後のVシネマの四天王のうち2人(清水宏次朗、竹内力)が若手のホープとして出演していて、その後の活躍を考えますと任侠系映画の世代交代が今作を起点に進んでいったように思います。残念ながらビーバップの面々もキャラ立ちはしますが演技が上手いというわけではありませんでした。
 セルフオマージュといえる五社英雄監督らしい演出が随所に見られ、岩下志麻とかたせ梨乃の取っ組み合いのキャットファイトシーンや、世良公則がかたせ梨乃をレイプしたかと思えば、もう俺の女だ、俺と結婚しろと強引すぎる強引さは This is the GOKUDOを表現しています。バカかとアホかと思う演出ですが、極道な迫力だけは映像から伝わってくるんです。
 岩下志麻の評価が高い作品ですが、かたせ梨乃の文字通り身体を張った演技がMVPだと思います。世良公則の最期のシーンは呆気にとられるほど強烈なインパクトがありました。銃撃された血まみれの世良公則がかたせ梨乃の乳房をペロペロ舐めながら息絶えていく、誰がこんな演出を思いつくんだよ!w

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極道の妻たち あらすじ(ネタバレ)

粟津環(演:岩下志麻)は堂本組若頭補佐で粟津組組長の妻である。気丈な彼女は、服役中の夫・等(演:佐藤慶)に変わり組を守っていた。ある日、環は貧しい工場を経営する父・保造(演:大坂志郎)と暮らす妹・真琴(演:かたせ梨乃)に縁談を持ちかけた。そんな時、堂本組総長が急死した。関西を拠点に全国的に勢力を持つ堂本組は、傘下組員二万人の暴力団で、粟津組はその直系である。堂本組の跡目相続人は、故人の遺言によって若頭の柿沼(演:岩尾正隆)に決定した。これを不満とする舎弟頭の蔵川(演:疋田泰盛)は、同補佐の小磯ら(演:成田三樹夫)を引き連れて朋竜会を結成した。環はあくまで堂本に忠誠を尽し、小磯の誘いを拒否する。小磯は傘下系列の名古屋の杉田組組長の杉田(演:世良公則)に柿沼暗殺の指揮を命じた。
 一方、アルバイト先のスナックで杉田にしつこく言い寄られていた真琴は、バカンスを楽しむグァム島で偶然、彼と再会。コテージで力ずくで抱かれた。杉田は兄弟分の川瀬組組長・川瀬(演:小松政夫)と共に柿沼暗殺のための拳銃の試射に来ていたのだ。帰国した真琴は、環に縁談を断りやくざと関係したことを告げた。ある日、柿沼が射殺された。すぐに、愛知県常滑市の暴力団員・川瀬が自首して出た。TVでそれを知った真琴は常滑へ向かう。杉田と真琴は、子分に囲まれながら結婚式を挙げる。だが、杉田は突然踏み込んで来た刑事たちに逮捕された。真琴のもとに、杉田が柿沼を射止めた拳銃が残された。
 ある夜、粟津組系組長の妻たちが集まる“懲役やもめの会”で、環が小磯系組員の襲撃を受けた。このまま抗争を続ければ、双方の組織が壊滅しかねないと案じた堂本の妻、絹江は関東から手打ちの仲介を頼むと環に告げる。環は小磯の妻、泰子(演:佳那晃子)の手を借りて小磯と会い、戦争終結を話し合った。
 一方、保釈となった杉田は、朋竜会解散の真偽を確めに大阪へ。家族と海水浴を楽しむ小磯の前で、自分の腹をドスで突き刺した。
 服役中の粟津が堂本の三代目に決定。大阪に戻った真琴は父親の死を知る。真琴は環のもとで暮らし始めたが、ある朝、見張りの清野伴司(演:清水宏次朗)と出かけた際、杉田の子分、花田太市(演:竹内力)と再会した。杉田のもとへ行くという真琴を環は止める。激しい喧嘩の後、「今日限り、わてらは姉妹でない」と環は妹を送りだした。
 杉田と真琴の久方ぶりの逢瀬の際中、伴司が飛び込んで来て杉田を刺殺した。そして粟津の保釈の日、環や組員が見守るなか、粟津は太市によって殺された。

極道の妻たち スタッフ

監督:五社英雄
脚本:高田宏治
原作:家田荘子
企画:日下部五朗,奈村協
撮影:森田富士郎
美術:西岡善信,今井高瑞
音楽:佐藤勝
録音:荒川輝彦
照明:安藤清人
編集:市田勇
助監督:清水彰
配給:東映

極道の妻たち キャスト

粟津環(あわづたまき):岩下志麻
粟津組組長の妻。高松市で暮らす。3年前から夫に代わり組を仕切り組員や対立組織にも凄みを利かせているが、基本的に人情を大事にする性格で実家の家族や組員の妻などに思いやりを持つ。統率力があり夫の服役中に粟津組の勢力を2倍に増やすなど、その手腕を発揮している。組員の妻たちのストレス発散のため3ヶ月に1回“懲役やもめの会”を開いている。子宝に恵まれず子供はいない。結婚前は北新地のクラブで人気No.1ホステスだった。

池真琴:かたせ梨乃
環の妹。24歳。大阪在住。スナックでバイトをしておりカウンターで酒を提供するなどしている。恋愛には真面目な性格で以前は高校教師と交際していたが貞操を守っていた。姉妹仲は悪くないが、環が時々お節介を焼くため少々疎ましく感じることがある。スナックの客としてやって来た杉田から惚れられ、その後結婚と同時に杉田組の姐さんになるよう告げられる。

杉田潔志:世良公則
朋竜会の組員で、傘下の杉田組組長。真琴と初めて会った当初、イメージ良く見せるためにヤクザであることを隠し芸能事務所社長を装い愛想よく振る舞っていた。背中には、“義・勇・情”と書かれた玉を持つ3匹の竜の刺青が彫られている。小磯への忠誠心は強いが、基本的に短気で強引に物事を進める性格。

堂本絹江:藤間紫
本家の総長の妻。周りから“本家の姐さん”と呼ばれており、環も彼女には頭が上がらない。やもめの会の集まりに顔を出し粟津組の妻たちに、ヤクザの妻として夫をしっかり支えるよう激励する。

柿沼辰郎:岩尾正隆
若頭で周りには過激派として知られる。年齢は40代後半ぐらいだが、堂本組の幹部の中では「年齢が若い方」と言われている。りゅうぞうの死後、二代目総長となるがその後襲撃事件に遭う。

小磯明正:成田三樹夫
堂本組舎弟頭補佐。56歳。りゅうぞうの死後、朋竜会副会長となる。杉田にとって任侠の世界での親のような存在。どちらかと言うと穏健派でヤクザにしては少々気が小さい。私生活では子煩悩な性格で小学生の息子を可愛がっている。

蔵川将大:疋田泰盛
堂本組舎弟頭。堂本組結成以来堂本の片腕として支えてきた人物。りゅうぞうの死後、自身が会長となり朋竜会というヤクザ組織を結成する。朋竜会結成時には、二代目堂本組と勢力が五分五分の状態となる。

役名不明:成瀬正
朋竜会の組員。環がホステスをしていた頃、小礒と共に店に通いつめていたが、等が4日間通っただけで彼女を物にしたことを羨んでいる。

粟津等:佐藤慶
粟津組組長兼堂本組若頭補佐。冒頭では、3年前から殺人の罪で高松刑務所に収監中。堂本総長の急死直後のテレビのニュースでは、二代目総長の候補の一人として自身の名前を挙げられている。妻の環によると外出時は、スーツ、帽子、靴など白ずくめのものを着用するのがお気に入りとのこと。

新海高明:鹿内孝
粟津組の幹部らしき人物。環の秘書のようにいつも行動を共にしている。

井手緋紗子:汀夏子
粟津組の妻の中で環に次ぐNo.2的存在。普段は自営業で化粧品店を営む。浮ついた所がなくしっかり者な性格で夫がいない間もヤクザの妻として家を守るという気持ちが強く、環への忠誠心もある。小型犬を飼っている。

小磯泰子:佳那晃子
明正の妻。姐として組を取り仕切る環を憧れ尊敬している。プール付きの豪邸で明正と小学生の息子・たけやと3人で暮らしている。旦那の朋竜会結成後、自宅にも息子の通学にも仰々しくボディガードがつくようになったのを不満に思っている。

滝江:明日香尚
女遊びや借金を繰り返し、暴力を振るう旦那に散々苦労してきたが、いざ夫が刑務所に入ると生活に馴染んでいるのかを心配している。

早崎久美:芹明香
旦那がダメ男で、博打でスッて借金を作るたびに自身がソープランドで働かされることに悩み環に相談する。2人の子供がいる。

由香利:春やすこ
夫は服役中で小学生の子供を育てている。夫の服役が子供の同級生にバレてイジメに遭っており悩んでいる。

恵:内藤やす子
環がスナックを借り切ってする“懲役やもめの会”に粟津組組員の他の妻たちと参加し皆で日頃の鬱憤を晴らす。

菊永竜二:石井博泰
杉田組組員。組員のまとめ役らしく作中では“イケイケ軍団行動隊長”と名乗っている。

時岡辰平:古川勉
杉田組組員。千葉県出身。事務所の入り口などを映す監視カメラを用いて怪しい人が来ないか確認する業務を担当。趣味はトランペット。

紺野京一:土岐光明
杉田組組員。ヤクザ家業に憧れて組に入った愚連隊上がり。

花田太市:竹内力
杉田組組員。本人曰く「やる時はやる男」。その後環を車に乗せて、杉田の隠れ家まで案内する。

露木勉:水上功治

池保造:大坂志郎
環と真琴の父。大阪の生野区にある自宅兼町工場で一人で部品加工などをして働いている。持病の喘息に加え血圧も高く娘たちから体を心配されているがタバコが手放せない。7年前に妻を亡くしている。

清野伴司:清水宏次朗
取り立て屋のチンピラ。保造が不渡りを出したため、夜逃げされないよう見張りとして池家に訪れる。自身と保造・真琴親子とは、ただの取り立て屋と債務者の関係だったが徐々に打ち解けて池家の居候のように暮らし始める。その後環に拾われて粟津組の一員となる。広島カープのファン。

柴田梓:松尾和子
真琴が働くスナックのママ。面倒見が良い性格で会話にユーモアがあり機転が利き、雇っているホステスを口説こうとする男にも臨機応変に対応する。

川瀬肇:小松政夫
愛知県のヤクザ組織の組長。杉田と個人的に親しくしており、朋竜会とは特に繋がりはない。杉田の依頼を受けて柿沼を銃で撃って怪我を負わせ、後日警察署に出頭し逮捕される。

川瀬秋子:円浄順子
川瀬の妻。小学生の娘がおり、家族で常滑市に暮らしている。家族でグアム旅行に訪れ同行した杉田から真琴を紹介され、親しくなろうと彼女に自宅の住所を伝えるがその後面倒なことになる。

雪江:絵沢萠子
池家(環の実家)の隣家のおばさん。数日前から外に干している下着を盗まれるようになり、真琴に同じく被害にあったかを尋ねる。

刑事:不破万作
警官たちを引き連れて杉田組の事務所に訪れ、柿沼の傷害事件の参考人として杉田に任意同行を求める。

リポーター:藤田恵子
柿沼の襲撃事件直後に病院前に駆けつける報道陣の一人。入り口から車へと向かう環に、柿沼の容態や堂本組の今後についてコメントを求める。

清美:家田荘子
はつ:八神康子
その他:小林勝彦,有川正治,五十嵐義弘,中村錦司,川浪公次郎,宮川珠李,三村敬三,栗田芳廣,磯村憲二,大木晤郎,丸平峯子,斉藤絵里,伊藤久美子,小川美那子,松宮由季,首藤真沙保,タンクロー,勝野賢三,石倉英彦,土佐一太,山村嵯都子,星洋子,福本清三,森源太郎,矢部義章,笹木俊志,白井滋郎,細川純一,石田謙一,木谷邦臣,司裕介,小峰隆司,富永佳代子,内藤康夫,川辺俊行,木下通博,小船秋夫,藤忠勝,得居寿,清家三彦,武井三二,福中勢至郎,大熊敏志,塙紀子,北村明男

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