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山の音|巨匠・成瀬巳喜男監督が川端康成の小説を映画化。原節子が清楚(せいそ)で意志の強いヒロイン・菊子を演じる映画史上の傑作

山の音
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山の音は、1954年公開の日本映画。川端康成の原作を、「にごりえ」の水木洋子が脚色、「あにいもうと(1953)」の成瀬巳喜男が監督した。「愛人」の玉井正夫の撮影、「恋文(1953)」の斎藤一郎の音楽である。主な主演者は、「にごりえ」の山村聡、丹阿弥谷津子、長岡輝子、「東京物語」の原節子、「にっぽん製」の上原謙、「家族あわせ」の角梨枝子、「純情社員」の杉葉子、「恋文(1953)(1953)」の中北千枝子など。

山の音 映画批評・評価・考察

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山の音

公開時の惹句は、「溢れくる愁いに ひとりきく山の音 愛情のなだれか 女の嗚咽か……」
巨匠・成瀬巳喜男監督が川端康成の小説を映画化。原節子が清楚(せいそ)で意志の強いヒロイン・菊子を演じる映画史上の傑作。鎌倉で息子夫婦と暮らす尾形信吾は、老いを感じ、寂しさを感じる日々を送っていた。息子の修一はほかに女がいて、信吾は浮気に耐える嫁の菊子を不びんに思い、いつしか菊子にひかれるようになるが…。光と影を繊細にとらえた映像、そして美術・編集、成瀬監督の演出が細部まで発揮された代表作の一つ。

第1回アジア太平洋映画祭音楽賞、録音賞、男優賞、女優賞を受賞。

なお山村聡と角梨枝子は、後述のドラマ版にも出演。主要スタッフは成瀬の次作『晩菊』にも参加しています。

 


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山の音 あらすじ(ネタバレ)

六十二という齢のせいか、尾形信吾は夜半、よく目がさめる。鎌倉の谷の奥--満月のしずかな夜など、海の音にも似た深い山の音を聴いて、彼はじぶんの死期を告げられたような寂しさをかんじた。信吾は少年のころ、妻保子のわかく死んだ姉にあこがれて、成らなかった。息子修一にむかえた嫁菊子に、かつての人の面影を見いだした彼が、やさしい舅だったのは当然である。修一は信吾が専務をつとめる会社の社員、結婚生活わずか数年というのに、もう他に女をつくり、家をたびたび開けた。社の女事務員谷崎からそれと聴いて、信吾はいっそう菊子への不憫さを加える。ある日、修一の妹房子が夫といさかって二人の子供ともども家出してきた。信吾はむかし修一を可愛がるように房子を可愛がらなかった。それが今、菊子へのなにくれとない心遣いを見て、房子はいよいよひがむ。子供たちまで暗くいじけていた。ひがみが増して房子は、またとびだし、信州の実家に帰ってしまった。修一をその迎えにやった留守に、信吾は谷崎に案内させ、修一の女絹子の家を訪ねる。谷崎の口から絹子が戦争未亡人で、同じ境遇の池田という三十女と一緒に自活していること、修一は酔うと「おれの女房は子供だ、だから親爺の気に入ってるんだ」などと放言し、女たちに狼籍をはたらくこと、などをきき、激しい憤りをおぼえるが、それもやがて寂しさみたいなものに変っていった。女の家は見ただけで素通りした。帰ってきた房子の愚痴、修一の焦燥、家事に追われながらも夫の行跡をうすうすは感づいているらしい菊子の苦しみ--尾形家には鬱陶しい、気まずい空気が充ちる。菊子は修一の子を身ごもったが、夫に女のあるかぎり生みたくない気持のままに、ひそかに医師を訪ねて流産した。大人しい彼女の必死の抗議なのである。と知った信吾は、今は思いきって絹子の家をたずねるが、絹子はすでに修一と訣れたあとだった。しかも彼女は修一の子を宿していた。めずらしく相当に酔って帰った信吾は、菊子が実家にかえったことをきく。菊子のいない尾形家は、信吾には廃虚のように感じられた。二、三日あと、会社への電話で新宿御苑に呼びだされた信吾は、修一と別れるという彼女の決心をきいた。菊子はむろんのこと信吾も涙をかんじた。房子は婚家にもどるらしい。信吾も老妻とともに信州に帰る決心をした。

山の音 スタッフ

監督:成瀬巳喜男
製作:藤本真澄
原作:川端康成
脚本:水木洋子
音楽:斎藤一郎
撮影:玉井正夫
美術:中古智
録音:下永尚
照明:石井長四郎
編集:大井英史
チーフ助監督:筧正典
製作担当者:馬場和夫
特殊技術:東宝技術部
現像:東宝現像所

山の音 キャスト

尾形菊子:原節子
尾形修一:上原謙
尾形信吾:山村聡
尾形保子:長岡輝子
谷崎英子:杉葉子
池田:丹阿弥谷津子
相原房子:中北千枝子
相原:金子信雄
絹子:角梨枝子
信吾の友人:十朱久雄
事務員:北川町子
房子の娘:斎藤史子
巡礼:馬野都留子

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