スポンサーリンク

かもめ食堂|個性的な面々がフィンランドのヘルシンキを舞台に、ゆったりと交流を繰り広げていく様子を描く。

かもめ食堂
この記事は約6分で読めます。

かもめ食堂は、2006年公開の日本映画。フィンランドの首都ヘルシンキの街角でオープンした小さな食堂を舞台に、3人の日本人女性が繰り広げる穏やかな日常を綴ったドラマ。監督は、「バーバー吉野」の荻上直子。出演は小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ。「過去のない男」のマルック・ペルトラが共演。キャッチコピーは「ハラゴシラエして歩くのだ」。

かもめ食堂 映画批評・評価・考察


かもめ食堂

脚本:37点
演技・演出:17点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計86点

フィンランドの首都ヘルシンキの街角で小さな食堂をオープンさせたサチエ。ごはんにみそ汁の日本食に、地元の人は戸惑い、なかなかお客がやってこない。そんななか、ひょんなことから出会ったミドリとマサコが店を手伝うことになるが…。出演は小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ。群ようこの小説を荻上直子監督が独特のユーモアあふれる演出で映画化、北欧の風景や街並み、おいしそうなメニューも魅力的なコメディードラマ。


今作品はAmazonプライムで見ました。
amazonプライム・ビデオ

かもめ食堂 あらすじ(ネタバレ)

夏のある日、ヘルシンキの街角に「かもめ食堂」という小さな食堂がオープンした。店主は日本人女性のサチエ(小林聡美)。献立はシンプルで美味しいものを、と考えるサチエは、メインメニューをおにぎりにした。しかし、客はなかなかやってこない。それでもサチエは毎日食器をぴかぴかに磨き、夕方になるとプールで泳ぎ、家に帰ると食事を作る。サチエは、毎日真面目にやっていれば、いつかお客さんはやってくると思っていた。そんなある日、ついに初めてのお客さんの青年トンミ(ヤルッコ・ニエミ)がやってきた。その日の夕方、サチエは書店のカフェで、難しい顔をして『ムーミン谷の夏まつり』を読んでいる日本人女性ミドリ(片桐はいり)に声をかける。フィンランドは初めてというミドリの話に何かを感じたサチエは、自分の家に泊まるようすすめる。そして、ミドリはかもめ食堂を手伝い始める。ある日、サチエがひとりで店番をしているかもめ食堂に、ひとりの中年男(マルック・ペルトラ)がふらりと入ってきた。訳ありげな佇まいの男は、美味しいコーヒーを入れるコツをサチエに伝授すると、またふらりと出て行く。そんな頃、またひとり、訳ありげな女性、マサコ(もたいまさこ)がヘルシンキのヴァンター空港に降り立った。スーツケースが運ばれてこないために、毎日空港へ確認に行かなければいけないマサコもまた、かもめ食堂を手伝うようになる。かもめ食堂は次第に人気が出はじめ、日々は穏やかに過ぎてゆくのだった。

かもめ食堂 スタッフ

監督:荻上直子
脚本:荻上直子
原作:群ようこ
製作:霞澤花子(企画)奥田誠治,大島満,石原正康,小室秀一,小幡久美,前川えんま,天野眞弓
音楽:近藤達郎
主題歌:井上陽水「クレイジーラブ」
撮影:トゥオモ・ヴィルタネン
編集:普嶋信一
製作会社:かもめ商会
配給:メディア・スーツ

かもめ食堂 キャスト

サチエ:小林聡美
かもめ食堂を経営する小柄な女性。その小柄さから、開店当初は近所の主婦たちには「こども食堂」などと揶揄されていた。亡父が合気道道場を営んでいたこともあり子供の頃から合気道を嗜み、就寝前に膝行(しっこう)という座り技の基本を行うのが日課である他、閉店後はプールで泳ぐことを習慣としている。合気道に至っては、食堂に忍び込んだマッティ(後述)をねじ伏せるなど、自身より大柄な男性をも倒す程の技量を持つ。潔さと芯の強さを併せ持つ知的な女性で、フィンランド語も流暢に操る。「何が何でも日本である必要ないかな」「ここならやっていけるかな」などといった理由から、食堂を開く場所としてフィンランドを選んだ。幼い頃に母親を亡くして以降家事全般を担っていた中で、1年に2度、運動会と遠足の弁当として父親が「おにぎりは自分で作るより人に作ってもらった方がずっとうまいんだ」と言っておにぎりを作ってくれたという過去から、おにぎりに対しては食堂のメインメニューに据えるなど強いこだわりを持つ。

ミドリ:片桐はいり
かもめ食堂2人目の客であり住人の大柄な女性。ある理由から「世界地図を広げて目を瞑り、指で指した所へ行ってやる」と決心し、結果的にフィンランドに辿り着いた。旅を決心した理由については特に言及されていないが、初めてサチエの家に招かれた際にはサチエの手料理を口にするや涙を流した。ムーミンが好きで様々な知識を持つ。サチエとの出会いのきっかけも、町の書店でムーミンの絵本を物色していたことであった。イラストを描くのも好きであり、食堂のメニューを作成したり、店内に絵を飾るなどしている。ややデリカシーに欠けるきらいがあり、友達がおらず日本にかぶれているトンミをからかったり、登場当初のリーサに対して露骨に警戒心を表すなどしていた。積極的にヘルシンキの街を散策したり、食堂の新メニュー開発を持ちかけるなど好奇心や冒険心も強い。

マサコ:もたいまさこ
長年に渡る両親の介護を終えフィンランドに来た、物腰柔らかな年配女性。テレビで「エアギター選手権」を観てフィンランドの国民性に惹かれ、目的、滞在期間、宿泊場所など一切決めることなくフィンランドに来たものの、空港で荷物を紛失してしまったことから、荷物が見つかるまでとして食堂の手伝いをすることとなる。リーサの話を親身になって聞きサチエたちに事情を説明した後、ミドリからの「フィンランド語出来るんですか?」との問いに「いいえ」と答えるなど飄々としており、「大事なもの、何か入っていたかしら」「ボーッとするのって結構難しくないですか?」「確かに私の荷物には間違い無いみたいなんですけど、なんだか違うんです」など、度々謎めいた言葉を残す。トンミのアドバイスに従い「ボーッとする」ために訪れた森でキノコを採集したものの、途中で紛失してしまう。物語終盤、ようやく荷物が見つかったため帰国する事をサチエ達に伝えたが、ホテルにて荷を解くとそこにはなぜか大量のキノコが詰められていた。その後、見知らぬ老人男性から猫を譲り受けてしまい、再びかもめ食堂で働く事となる。

トンミ・ヒルトネン:ヤルッコ・ニエミ
かもめ食堂1人目の客となった青年。日本かぶれで片言の日本語を話し、武士道や芸者などといった日本にまつわるデザインのTシャツを常に着用している。初来店時、サチエに『ガッチャマンの歌』の歌詞を尋ねたことが物語の始まりとなる。初来店から毎日のように頻繁に食堂を訪れ、サチエが設定した「お客様第一号だからコーヒー代は永遠にタダ」という決まりにより無料でコーヒーを飲みに来ている。その他にも新メニュー開発に立ち会ったりするなどしてサチエらと交流を深めている。特にミドリには自身の名前を漢字で書くように頼み「豚身 昼斗念」と書いてもらった他、折り紙の跳ねるカエルを披露された際には感激のあまりミドリの手を握った。食堂のメンバー以外に友達はいない模様。

マッティ:マルック・ペルトラ
ふらりと食堂に来店した男性。サチエに美味しいコーヒーを入れるおまじない「コピ・ルアック」を教え、「コーヒーは自分でいれるより人に入れてもらう方がうまいんだ」と語った。ある休日、サチエたちの留守中に食堂に侵入していたところを戻って来たサチエに取り押さえられた。かもめ食堂が開店する以前にその場所でコーヒー店を営んでいたが、店が潰れて以降は妻子ともうまくいっていない。食堂に侵入したのは、前の店で使用しており店を引き払う際に置き忘れていた機材を取り戻すためであった。リーサによるとコーヒーの味には定評があった模様。

リーサ:タリア・マルクス
かもめ食堂の近隣に住む老婦人。しばらく食堂の前から中を睨みつけ続けていた。そんな中、ある日突然食堂に入ってきて酒を要求するも既に酩酊状態であったため、ものの数杯で倒れてしまい、マサコに介助された。理由も分からないまま夫に家を出て行かれてしまったことから、自暴自棄になり酒に溺れる日々を送っていた。サチエらとの出会いをきっかけに自分を取り戻し、以降食堂の常連となり、休日には度々サチエらを遊びに誘ったりするなど交流を深めている。おにぎりがお気に入り。マサコから藁人形の呪いを教わり、出て行った夫を呪って家に呼び戻すことに成功している。

かもめ食堂 予告編・無料動画


amazonプライム・ビデオ