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吉原炎上|女の駆け引きが火花散る、吉原遊郭 《五社》映像の炎に灼かれて女優凄艶

吉原炎上
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吉原炎上(よしわらえんじょう)は、1987年公開の日本映画。花魁5人の悲喜を描いた映画。吉原遊郭に生きた女たちの生き様を本格的に取り上げた初めての映画といわれる。名取裕子をはじめ、かたせ梨乃、西川峰子、藤真利子ら、当時の有名女優の大胆なヌードシーンがあったことが大きな話題を呼んだ。

吉原炎上 映画批評・評価・考察

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吉原炎上(よしわらえんじょう)

脚本:40点
演技・演出:20点
撮影・美術:20点
編集:10点
音響・音楽:10点
合計100点

有名女優達の裸の共演で話題の作品ですが、オムニバス形式が取られ、全体の主人公が名取裕子、四章(春夏秋冬)なる主人公に4人の女優が割り当てられています。今作品、子供の頃に見た印象と大人になってから見る印象がまったくことなってくるんですよね。子供が見る映画じゃないだろと。。。ツッコミたいでしょうが、むかしはゴールデン洋画劇場なんかでもよく放送されてたんです。裸と火事しか印象に残ってなかった当時ですが、それぞれの女性の描き方が秀逸で、ストーリーも演出もよくできた映画だと今更ながら気づかされたものです。今作品、五社英雄監督、森田富士郎撮影監督の見事なまでの映像美とエロティシズムが表現された作品だと思います。

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吉原炎上 あらすじ(ネタバレ)

主人公の久乃は明治の終わり、1908年に吉原の中梅楼に遊女として売られた。そこでは借金に縛られた女たちが六年の年季が明けるまで、春をひさいでいた。久乃(演:名取裕子)がここ吉原の“中梅楼”に遊女として売られてきたのは十八歳の春。明治の末のことである。
【春の章】
中梅楼には花魁の筆頭とも言うべき、お職の九重(演:二宮さよ子)をはじめ、二番太天の吉里(演:藤真利子)、三番太天の小花(演:西川峰子)に次いで、菊川(演:かたせ梨乃)などさまざまな遊女がそれぞれ艶を競っていた。お職の身にありながら、宮田という学生と抜きさしならない仲になっていた九重は久乃に不思議な魅力を感じていた。九重の下につき見習いをはじめた久乃にやがて、娼妓営業の鑑札が下り、若汐という源氏名を貰った。ところが初見世の時、若汐は突然客のもとを飛び出し、裸足で逃げだしてしまった。そして、店のものに追われる途中、救世軍で娼妓の自由廃業運動を展開中の古島信輔と出会う。若汐は結局、店のものにとり押えられ、連れ戻されるが、このことに激怒した九重は、自らの身体で若汐に廓の女の作法を教えるのだった。彼女に不思議な魅力を感じていた九重は、この時自分が廓の女であることを忘れ身悶えてしまった。そして、数日後、店への借金を成算するとどこへともなく吉原を去っていった。
【夏の章】
一年後。中梅楼のお職の座には吉里がついていた。ある日、娼妓の菊川が品川に住み替えとなった。菊川は気のいい女で若汐とも仲がよかっただけに、彼女は一抹のさびしさを感じていた。そんなある夜、若汐の前に信輔があらわれた。信輔は今や先代の急死で古島財閥の若き当主となっていた。そしてこの日を境に信輔は若汐のもとに通いつめた。がしかし、一度も彼女を抱こうとしなかった。やがて、お職の吉里が、熱をあげていた男にフラれた腹いせに、剃刀を持ってあばれだし、白昼、自らの首に剃刀を当て死んでいった。吉里は酒と情人に弱い女だったのだ。
【秋の章】
ふたたび一年後。若汐の美しさはますます磨かれて、姉さん格の小花と艶を競うまでになっていた。翌年の年季明けをめざして小花はよく客をとっていた。しかし、このことが災いしてひどい喀血の末、病院送りとなってしまった。そして、小花に替わって若汐がお職の座につき、楼主と女将のすすめもあって花魁名跡“紫”を継ぐことになった。十月恒例の“仁和賀”で湧き立つ仲之町。お職の位に出世した紫の豪華な“積夜具”が部屋へ運び込まれた。その部屋はもとの小花の部屋。店のものがうっとりとそれらをながめていると突然、幽気のような小花が現われた。そしてお座敷から信輔と一緒に戻った紫の前で小花はその夜具をこなごなに切りさき、絶叫の中、死んでいくのだった。
【冬の章】
それからさらに一年後の冬。楼主と女将に呼ばれ部屋へ行く紫。とそこには信輔がいた。信輔は二千円という大金を彼女にさし出し、好きなように使えという。そして彼女の前から姿を消してしまった。紫はその金でかねてから考えていた“花魁道中”をやることにした。ある日、紫は菊川と再会した。一度は身受けしてもらったものの再び廓に身を落とし今では安女郎の菊川。二人の差は年月以上に大きなものだった。やがて、めぐりくる桜の季節となり、紫の豪華な花魁道中が行なわれた。彼女は信輔がお春という女郎のもとにいることを知ると、すぐに駆け付けるが、そんな彼女を菊川がとがめた。そして、紫は馴染みの客の坪坂の願いもあって、吉原を去ることにした。二人を乗せた人力車が吉原を出ようとする時、お春があやまって倒した火がもとで吉原全体が猛火につつまれ紫が育った中梅楼も、信輔もすべてが灰となってしまった。彼女は、燃えあがる吉原を万感の思いで見つめていた。

吉原炎上 スタッフ

監督:五社英雄
企画:日下部五朗,本田達男,遠藤武志
原作:斎藤真一 「吉原炎上」(文藝春秋刊)「明治吉原細見記」(河出書房新社刊)
脚本:中島貞夫
脚本構成:笠原和夫
撮影:森田富士郎
美術:西岡善信
編集:市田勇
音楽: 佐藤勝
助監督:鈴木秀雄
製作会社:東映京都
配給:東映

吉原炎上 キャスト

上田久乃→若汐→紫太夫名取裕子
主人公。登場時は19歳。岡山県出身。船乗りだった父が海難事故を起こし、賠償金の工面のため吉原に売られてきた。花魁として「若汐」の源氏名を名乗り、最初の客と、いざ事を始める直前に羞恥心から逃げ出し、捕えられて厳しい折檻を受け、九重から男を喜ばせる方法を教わる。吉原に入った頃から久乃の成功を予感した者達の期待通り、徐々に花魁としての自尊心が芽生え、金持ちの常連が付いた強運もあって御職を目指すようになる。

九重二宮さよ子
中梅楼の一番花魁(御職)、春の章ヒロイン。主人公の姉女郎。年上ということもあり、姉御肌。本人によると「(久乃から)いい匂いがしている」として妹分として気に入っている。客から逃げ出した若汐を折檻するものの、身を持って客を喜ばせる方法を教えてくれた。一番人気で上物のお得意様から声がかかっているが、本人は学生の宮田に熱を上げている。自身を「年増女郎」と自覚しており、宮田から叶わぬ結婚を匂わされたことで落胆し、店への借金を清算して静かに吉原を去って行く。

吉里藤真利子
中梅楼の二番花魁、夏の章ヒロイン。九重のあとの御職を継いだが、客には恵まれておらず、借金が多い。若汐には妊娠した場合の処置法(堕胎の方法)を教える。野口に惚れており、株で大損をした金の穴埋めに若汐づてで古島から50円借りるものの、約束を反故にされて半狂乱になる。のちに越後屋と懇意になり、冗談で「一緒に死のうか」と言われたことがきっかけで剃刀を片手に越後屋を追いかけ回し、表で誤って金魚売りの首を斬ってしまう。「何だい、みんな、あたしの身体を喰いものにしてやがるくせに…女郎の上まえで喰ってやがるくせに…」と啖呵を切り、自らの首を剃刀で斬って果てた。

小花西川峰子
中梅楼の三番花魁、秋の章ヒロイン。周囲には「徳川家の典医の家系だったが、両親が亡くなったため、帝大の医学部に通う弟のために花魁になった」と吹聴し、弟の写真を肌身離さず持っている。年季明けを目指して客を取り過ぎたためか、無理が祟って体調を崩し、御職の座を紫(若汐)に奪われてしまう。その上、身の上話が虚構だったこともバレた屈辱から半狂乱となり、喀血して壮絶な最期を迎える。

菊川かたせ梨乃
久乃の先輩女郎、冬の章ヒロイン。口は悪いが気立ては良い。久乃とは面倒を見るうちに仲良くなり、「菊ちゃん」「久ちゃん」と呼び合うようになる。貧しい家の娘で、女郎暮らしをしながら「白米が食べられる」と喜び、自身の古着は実家に送っている。のちに「要領が悪く、稼ぎが悪いから」との理由で、女将から言われて品川にある別の遊郭へ住み替えした。物語中盤、久乃と再会したときには宮大工と所帯を持った様子だった。物語終盤、夫を寝取られ吉原遊郭では最下層の店が並ぶ羅生門河岸の長屋女郎にまで身を落としていた。そして、古島に会わせてほしいと懇願する紫に啖呵を切って追い返す。吉原炎上時には近くの川に飛び込んで助かり、燃える吉原を眺めていた。

中梅楼
大倉伊三郎山村聡
中梅楼の主人。スミによると毎日の仕事前に伊三郎が直々に各部屋に訪れて挨拶する花魁は、九重、吉里、小花の人気のある3人の花魁だけと言っている。若汐は、吉原一の花魁になると期待を寄せ、吉原の伝統である花魁道中をやってほしいと思うようになる。
大倉スミ佐々木すみ江
中梅楼の女将。中梅楼を取り仕切っている。古島がチップとして1人50円渡していると聞いた時は、髪を整えて自ら急いでもらいに行った。伊三郎同様古島や坪坂など大身の人物を馴染み客に持つ若汐を運の強い子だと褒め、「紫(太夫)」という江戸時代から吉原に伝わる大変な名跡を継がせる。
おちか園佳也子
遣り手。中梅楼の二階の階段と廊下に隣接した簡単な座敷から、花魁や女中たちの働きぶりを見ている。本人は「ここが私が睨みをきかせている中梅楼の司令塔」と称している。口達者でよく喋り、女将にも色々と自分の注文を伝えている。
由松左とん平
客引き。中梅楼が開店する時刻ともなれば、張見世(今で言うショーウィンドウ)で、客を呼びこむための売り文句を述べている。
国さん/源さん:国さん岸部一徳/源さんビートきよし
中梅楼で雑用などをこなしている。
役名不明: 絵沢萠子
中梅楼で雑用などをこなしている。若汐と共に桜田に小花の家族について話を聞きに行った。小花が大きな失敗をして、旦那や女将の逆鱗に触れた時も小花の味方となり、涙ながらに許してもらえるようにお願いした。
綾衣速水典子
役名不明:松岡知重


馴染み客
古島信輔根津甚八
救世軍の活動に身を投ずる古島財閥の御曹司、若汐となった久乃の馴染み客。若汐が初めての客から逃げ出した時に川岸で偶然知り合う。若汐を初めて指名した時は、多くの花魁を総揚げ(※遊郭の見世を丸ごと貸しきり、遊ぶこと)して、さらに他の従業員たちにも1人50円もの金をチップとして大盤振る舞いをした。その後も若汐を何度か指名して一夜を共にしているが、一度も抱いたことはない。後に若汐の身請けを申し出るも、若汐に拒否されてしまい物別れに終わる(ただし金は受け取り花魁道中を挙行している)。
若汐が紫の名跡を襲名した後、疎遠になるが1年後現れて2千円もの大金を彼女に渡した。それと同時に父に勘当された事を話し、彼女の前から去る。物語終盤に、菊川のいる羅生門河岸の店にいる事が判明。お春に熱を上げるようになる。
坪坂義一小林稔侍
紫太夫となった久乃=若汐の馴染み客。役所勤めの裕福な男。仕事を辞めて岡山で事業を始めるので一緒になってほしいと紫太夫に結婚を申し出た。
宮田井上純一
学生、九重の馴染み客。九重とは歳の差があり、学生とあってまだまだ人生経験が少ない。九重に対し「年増」呼ばわりすることもある。
野口益岡徹
株屋、吉里の馴染み客。株で大損をしてしまい、具体的な損害額は不明だが400円の金が必要になった。吉里が本気で愛した男。
越後屋善之助河原崎長一郎
吉里の馴染み客。金使いはあまりいい方ではないが、吉里を指名している。吉里との布団の上で「一緒に死のうか」との問いかけにそれを承諾するようなやり取りをし、本人は冗談のつもりだったがその後事件に発展。
かたやまゆうきち:役者名不明
久乃とは旧知の仲。探していた久乃が若汐という花魁となって吉原にいるのを見つけて再会を喜び、一晩を共にした。博多によるとその後働いていた造船所の金庫から大金を盗み出したとのことで全国指名手配になっている。金にも女にもだらしないフヌケで、女と逃げているとのこと。
亭主成瀬正
菊川の馴染み客。


吉原の人々
お春野村真美
菊川の妹分、羅生門河岸の長屋女郎。古島に見初められて指名されるようになった。古島と結婚する約束をしていたが…。
今朝次成田三樹夫
女衒(ぜげん)。借金のカタに久乃を吉原に連れてきた人物。久乃の父親は瀬戸内の船長だったが、船の転覆事故により船もろとも亡くなる。船の借金は家と土地を売って片が付いたが、体の弱い母親と幼児(性別は不明)がいて遺族に保証金が払えないため売られた。
桜田紅洋竹中直人
演歌師、小花の過去を知る。吉原の通りでヴァイオリンを弾きながら歌っている。
峯半の女将中島葵
写真屋大村崑
医者山本清
遊郭に花魁として働きに出される前の女性の検査や検梅や妊娠検査などを行っている。
博多巡査部長光石研
久乃が吉原で働き始める前に遊郭がどのような場所であるかを説明した。後にかたやまゆうきちという久乃と親しかった男が犯罪を犯したとして、久乃に事情聴取を取った。
福島巡査緒形拳(友情出演)
冒頭で遊郭での「はずす」という言葉(作中では、客との行為中に気を失ってしまうことと説明)を久乃に教えた。1年後会った時も久乃にはずしたことがあるか気になっているようで尋ねている。

ナレーター岸田今日子

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