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LAMB/ラム|禁断(タブー)が産まれる。羊から生まれた謎の存在を育てる羊飼いの夫婦をめぐるスリラー

LAMB/ラム
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LAMB/ラムは、2021年公開のアイスランド・スウェーデン・ポーランド合作映画。アイスランドの人里離れた場所に住む羊飼いの夫婦をめぐるスリラー。羊から生まれた謎の存在を育てる二人の姿を描き、第74回カンヌ国際映画祭のある視点部門「Prize of Originality」を受賞した。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などの特殊効果を担当したヴァルディマル・ヨハンソンの長編監督デビュー作。ノオミ・ラパス主演兼製作総指揮。第94回アカデミー賞国際長編部門アイスランド代表作品に選出された。

LAMB/ラム 映画批評・評価・考察


LAMB/ラム(原題:Lamb,Dýrið)

脚本:28点
演技・演出:14点
撮影・美術:17点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計73点

娘を事故で亡くし、厳しい環境の中、失意のまま暮らしていた夫婦に、思わぬ奇跡が起こったように思えた。神からの授かりものだと信じ育て、つかぬまの幸福を感じていた。しかし、実際は神からの授かりものではなく、羊人間(悪魔)の子だった。というネタバレを書いていますが、この映画、知って見た方がおもしろい作品のように思います。
今作品の主人公であるマリアは、劇中で二つの罪を犯しています。一つは、アダの親羊(母親)を嫉妬から銃殺したこと、二つ目は、純朴な夫であるイングヴァルを裏切る、その弟のペートゥルとの不倫です。

そして、クライマックスでイングヴァルはアダの父(羊人間)に銃殺されてしまいます。あえて銃を使っているのは復讐だからだと推測できます。そして、それはマリアに対するものです。

マリアは、信仰心があるのが、劇中で伺えますが、彼女はその信仰を裏切る罪を犯しています。それがラストシーンで何かを悟ったような表情を浮かべる姿に要約されているように思えました。神の裁きにして自分が招いた結果なのだと悟ったのではないでしょうか?


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LAMB/ラム あらすじ(ネタバレ)

霧に包まれた山間で群れをなす野生の馬たちは、何かが近づいてくる気配を感じ動揺している。その何かは家畜小屋を訪れ、中にいる羊たちを怯えさせる。

そこで牧羊を営んでいるマリアとイングヴァルの夫婦は、娘を亡くしてから二人きりで静かに暮らしている。ある日、二人は一頭の羊の出産に立ち会う。だが、産まれてきた子羊は頭部から右半身が羊、左半身から下半身が人間という獣人であった。戸惑う二人だったが、その愛くるしい容貌から、死んだ娘と同じくアダと名付け、大切に育てていく。

ある日、イングヴァルの弟であるペートゥルが仲間に捨てられ、イングヴァルの家に帰って来る。そこでペートゥルはアダの存在に気付き、不快感を抱く。夫婦はアダと三人で暮らすことに幸福を見出しているにもかかわらずペートゥルはアダを嫌悪し、夫婦が寝ている隙にアダを連れ出して殺そうとする。しかし、思いとどまったペートゥルはアダとともに帰宅する。それ以来、ペートゥルは愛をもってアダと接する。一方、アダを産んだ母羊は、アダに対する母性が捨てられず、家の周りから離れずに鳴き声を出してアダを頻りに呼ぶ。アダを溺愛するマリアは母羊が疎ましくなり、ついには銃で殺してしまう。

その後、三人はハンドボールを観戦して盛り上がり、試合が終わると酒を飲みながらビデオを見る。そのビデオはペートゥルが若かりし頃、バンドのボーカルをしていた際に制作されたミュージック・ビデオだった。三人はダンスに興じ、羽目を外す。その間、外に出ていたアダは、何かが牧羊犬を殺し銃を盗んでいく様子を目撃する。一方、疲れたイングヴァルは眠ってしまうが、その隙を狙ってペートゥルはマリアを誘惑する。ペートゥルは拒否するマリアに、母羊を殺すところを見ていたと告げ、そのことをアダに話すと脅し関係を迫る。マリアは屈すると見せかけて、ペートゥルを物置部屋に閉じ込める。

翌朝、マリアは家を出ることにしたペートゥルをバス停まで送っていき、当面の金をペートゥルに渡す。その間に目覚めたイングヴァルは、故障して置き去りにしたトラクターを修理しにアダを連れて出かける。その帰り道、イングヴァルは盗まれた銃で首を撃たれ死ぬ。彼を殺したのは、アダの本当の父であり、頭部が羊で体が人間という獣人であった。獣人は、イングヴァルの死に涙を流すアダの手を引き、山へ消えていく。

帰宅したマリアは、夫とアダがいないことに気づき探し回った末、血を流して死んでいるイングヴァルを発見する。そしてアダも失ったことを悟り、絶望の淵に突き落とされる。

LAMB/ラム スタッフ

監督:ヴァルディマル・ヨハンソン
脚本:ショーン,ヴァルディマル・ヨハンソン
製作:フロン・クリスティンスドッティル,サラ・ナッシム,ピオドール・グスタフソン,エリク・リデル,クラウディア・シュミエヤ=ロストヴォロフスカ,ヤン・ナシェフスキ
製作総指揮:ノオミ・ラパス,タル・ベーラ,ホーカン・ペッテルソン,ヨン・マンケル,マルチン・ドラビンスキ,ペテル・ポスネ,ズザンナ・ヘンチュ
音楽:ソーラリン・グドナソン
撮影:イーライ・アレンソン
編集:アグニェシュカ・グリンスカ
配給:セナ,クロックワークス

LAMB/ラム キャスト

マリア : ノオミ・ラパス
イングヴァル(マリアの夫) : ヒルミル・スナイル・グドゥナソン
ペートゥル(イングヴァルの弟) : ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン
テレビの男 : イングヴァール・E・シーグルソン

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