罪人たちは、2025年公開のアメリカ合衆国の映画。1930年代のアメリカ南部、信仰深い田舎町を舞台に、客で賑わうダンスホールが、招かれざる者たちの出現によって、歓喜は絶望に変わり、人知を超えた狂乱のサバイバルが幕を開ける。
罪人たち 映画批評・評価・考察
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罪人たち（原題：Sinners）
脚本：37点
演技・演出：19点
撮影・美術：19点
編集：10点
音響・音楽：10点
合計95点
1930年代のアメリカ南部、厳格な宗教観を持つ田舎町が舞台です。双子の兄弟スモークとスタックは、当時禁じられていた酒や音楽を提供するダンスホールを開き、一攫千金を夢見ます。オープン初日の夜、多くの客が集まり宴は熱狂に包まれますが、そこに招かれざる者たちが現れたことで事態は急変します。歓喜は一瞬にして絶望に変わり、人知を超えた存在による狂乱のサバイバルが繰り広げられます。
黒人コミュニティを希望と絶望の両面から描き、ジャンルを超越した革新的な作品として批評家から高く評価されています。全米での試写会以降、批評家たちから「この10年間で最も衝撃的な映画体験」「マスターピース（傑作）」と絶賛され、Rotten Tomatoesなどのレビューサイトでも極めて高い評価を獲得しました。
映画前半の人間ドラマから後半のホラー展開への急転直下するストーリー展開と、最初から最後まで続く息もつかせぬ緊迫感、そして目を背けたくなるような残酷描写が、強烈な印象を残しました。人種差別、信仰、コミュニティ、そして家族愛といった重厚なテーマが根底に流れており、単なるホラー映画にとどまらない深い余韻が残ります。
ロドリゲスとタランティーノの『フロム・ダスク・ティル・ドーン』と似てるのかな？という感じもしましたが、どちらかというと『キャンディマン』のような余韻を感じるところが個人的にはありました。ただ、上記二作に比べると黒人文化や歴史背景が強く反映されていることが今作品のただならぬホラー作品に仕上げているのは間違いないかと思います。
今作品はAmazonプライムで見ました。
罪人たち あらすじ（ネタバレ）
1932年、ミシシッピ州クラークスデール。第一次世界大戦の退役軍人である一卵性双生児のイライジャ・“スモーク”・ムーアとイライアス・“スタック”・ムーアは、シカゴ・アウトフィットで7年間働いた後、故郷に戻る。ギャングから盗んだ金で地主ホグウッドから製材所を購入し、地元の黒人コミュニティのためにジューク・ジョイントを開店する。牧師である父ジェディディアからブルース音楽の罪悪について警告されていたにもかかわらず、ギタリスト志望の従妹サミーも彼らに加わる。
双子はピアニストのデルタ・スリムを演奏者として、地元の中国人店主夫婦のグレースとボー・チョウを仕入れ役として、現場作業員のコーンブレッドを用心棒として、そしてスモークの妻アニーを料理人として雇う。アニーはフードゥーの儀式のおかげで双子の安全が守られたと信じているが、スモークは幼い娘の死を防げなかったことを疑う。スタックは白人のように見える元恋人メアリーと偶然再会するが、メアリーはスタックが自分を守ろうと捨てたことを恨む。一方、アイルランド移民の吸血鬼レミックは、チョクトー族の吸血鬼ハンターから身を守るため、KKKの夫婦に身を寄せ、彼らを吸血鬼に変える。
店のオープニングの夜、サミー、デルタ スリム、そしてサミーが夢中になる歌手のパーラインがステージで演奏する。サミーの音楽は超越的で、知らないうちに過去と未来の霊を群衆に召喚する。しかし、演奏はレミックと彼の吸血鬼たちも引きつけ、彼らは入場と引き換えに金と音楽を提供する。疑り深いスモークはそれを断る。双子は、常連客が会社の株式に依存しているため店が儲からないことに気付く。外部からの収入が必要だとスタックを説得したメアリーは、外でレミックと会うが、そこで変身させられる。店内に戻ると、メアリーはスタックを誘惑し、致命傷を与える噛みつきをする。サミーとスモークが2人を発見し、スモークはメアリーを撃つが、メアリーは影響を受けず逃げる。外で、レミックはコーンブレッドを変身させる。
スモークは店を早めに閉め、客とボーが店を出ると、吸血鬼たちは彼らを吸血鬼に変えてしまう。スタックは吸血鬼として復活するが、アニーがニンニクの酢漬けの汁で撃退したため逃走する。アニーは襲撃者が吸血鬼だと気づき、生存者たちに彼らを撃退する方法と、レミックを殺しても他の吸血鬼が人間に戻ることはないことを教える。レミックと彼の吸血鬼たちは集団意識を共有しているが、人格はそのままである。
依然として店に入ることができないレミックは、生存者たちを誘って交渉を試みる。吸血鬼になれば不死になり、迫害から解放されると言うのだ。彼はサミーと引き換えに店を出ることを約束する。サミーの音楽の腕前を使って、失われたコミュニティの霊を呼び起こしたいのだ。さらに、ホグウッドが地元のKKKのボスであり、夜明けに店を襲撃しようとしていることも明かす。彼らは拒否し、レミックはチャウ家の娘リサを自宅で襲撃すると脅す。
脅迫に激怒したグレースは、吸血鬼たちを店に招き入れ、乱闘が始まる。グレース、ボー、アニー、デルタ・スリムは命を落とし、メアリーは逃亡、レミックはパーラインに変身する。スモークはスタックと戦い、勝利。その後、サミーと共に残りの吸血鬼たちを倒す。彼らは日の出の光に焼かれ、全て焼き尽くされる。スモークはホグウッドとその部下を殺害する前にサミーを家に送り返すが、致命傷を負う。死後、スモークはアニーと娘と再会する。一方、サミーは救済を求める父の懇願を無視し、ブルースミュージシャンとして成功するためにシカゴへ旅立つ。
60年後の1992年、不老不死のスタックとメアリーは、地元のブルースクラブで年老いたサミーを訪ねる。スタックは、スモークがサミーに安らかに暮らすことを条件に、彼をクラブで助けたことを明かす。二人の不死の申し出を断ったサミーは、二人のために演奏する。二人が去る際、サミーはあの夜の記憶に悩まされているにもかかわらず、あの暴力事件が起こるまでは、人生で最高の日だったと告白する。スタックも物憂げに同意する。スモークと太陽を見たのはこれが最後であり、二人が真に自由だった唯一の時だったからだ。
罪人たち スタッフ
監督：ライアン・クーグラー
脚本：ライアン・クーグラー
製作：ジンジ・クーグラー,セヴ・オハニアン,ライアン・クーグラー
製作総指揮：ルドウィグ・ゴランソン,ウィル・グリーンフィールド,レベッカ・チョー
音楽：ルドウィグ・ゴランソン
撮影：オータム・デュラルド
編集：マイケル・P・シャウバー
製作会社：プロキシミティ・メディア
配給：ワーナー・ブラザース映画
罪人たち キャスト
イライジャ・“スモーク”・ムーア：マイケル・B・ジョーダン
スタックの兄。物語開始前、兄弟でシカゴでアル・カポネのもとにいたという。青いハンチング帽に青いシャツが特徴。やや寡黙で金やビジネスには厳しく、暴力も厭わない。武闘派で身体能力もかなり高く、基本的に白人を敵と見なしており、容赦ない。しかし家族や仲間に対する愛情は本物であり、スタックに対しては”自身の分身”だと考えている。
イライアス・“スタック”・ムーア：マイケル・B・ジョーダン
スモークの弟。赤い中折れ帽と赤いネクタイが特徴。兄と比べて陽気で楽観的だが、周囲の者に好意的に接するため、自然と人を惹きつける魅力を持つ。また、かつてメアリーと交際していたことから、兄ほど白人を嫌ってはいない。
メアリー：ヘイリー・スタインフェルド
スタックの元ガールフレンド。母親が亡くなったばかり。
サミー・“プリーチャー・ボーイ”・ムーア：マイルズ・ケイトン
老年期のサミー：バディ・ガイ
ムーア兄弟の従兄弟で歌手。愛称のプリーチャー・ボーイの通り、教会の牧師の息子。両親からは音楽を反対されているが、ブルース・ミュージシャンとして卓越した才能を持つ。スモークからチャーリー・パットンが使用していたというギターを贈られる。
レミック：ジャック・オコンネル
アイルランド出身の謎の男。突然 仲間たちと共にダンスホールに現れる。
アニー：ウンミ・モサク
スモークの妻。かつてスモークとの間に子供がいたが、幼くして他界してしまったことによりスモークとは疎遠となり、本編で7年ぶりに再会するが、今でも愛している。
フードゥー（Hoodoo）のヒーラーであり、占いや呪術や神話に詳しく、スモークにお守りを贈っている。
パーリン：ジェイミー・ローソン
サミーが夢中になる歌手。既婚者。
コーンブレッド：オマー・ベンソン・ミラー
綿花畑で働く大柄な男性。ダンスホールの用心棒として雇われる。
スリース：エモニエ・エリソン
コーンブレッドの妊娠中の妻。
デルタ・スリム：デルロイ・リンドー
ピアノ&ハーモニカ奏者。かつては伝説的なブルース・ミュージシャンだったという。スモーク&スタックとは旧知の仲。
ボー・チョー：ヤオ
中国系アメリカ人。雑貨店を営む店主。
グレース・チョー：リー・ジュン・リー
ボーの妻であり、店舗経営の他に看板塗装業も請け負う。
リサ・チョー：ヘレナ・ヒュー
ボーとグレースの娘。
バート：ピーター・ドレイマニス
KKKの一員。ジョーンの夫。家に逃げ込んできたレミックを匿う。
演じるドレイマニスはカナダのロックバンドJuly Talkのメンバー。
ジョーン：ローラ・カーク
同じくKKKの一員。バートの妻。
ホグウッド：デヴィッド・マルドナルド
クラークスデールの地主。古い製材所をスモーク&スタックに売却する。
チェイトン：ナサニエル・アーカンド
レミックを追うチョクトー族のリーダー。
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