蒲田行進曲 100点(満点)

蒲田行進曲(かまたこうしんきょく)

1982年公開の日本映画。戯曲をつかこうへい自身が映画向けに脚色し、深作欣二が監督した映画作品。つかこうへいが自ら監督してフジテレビ資本で映画化するという構想が最初だったが、往年の松竹蒲田をタイトルにした作品とあって、松竹ではこれを他社でやられては会社のメンツに関わると、執拗に映画化権獲得に動いた。つかは『蒲田行進曲』の映画化より1982年の大晦日にテレビ東京が紅白歌合戦にぶつける『つか版・忠臣蔵』を製作することに賭けていて、出版元の角川書店が、この番組の大手スポンサーに付くことと引き換えに、つかから『蒲田行進曲』の映画化権を取った。角川春樹は仲の良い東映社長の岡田茂に東映での映画化を提案したが、岡田から「楽屋オチの話なんて誰が見るのか」と断られた。これを聞いた松竹が角川に猛アタックし、角川から、企画、製作、宣伝もすべて角川方式にするという条件を飲まされ、映画化権を得た。東映に顔の利く角川が原作の舞台になっている東映京都の太秦撮影所を使うことを決めた。配役は松竹作品ということで、まずヒロインの小夏に松坂慶子が起用された。銀四郎とヤスについては難航し、プロデューサーの角川の提案で松田優作に銀四郎役の出演依頼がなされたが松田は辞退し、結局スケジュールの余裕がなくなったことから、つか作品の舞台に数多く出演していた風間杜夫と平田満が主役に起用され、結果的に2人の出世作となった。第6回日本アカデミー賞 作品賞、監督賞(深作欣二)、脚本賞(つかこうへい)、主演男優賞(平田満)、主演女優賞(松坂慶子)、助演男優賞(風間杜夫)、音楽賞(甲斐正人)を受賞。

蒲田行進曲 映画批評・備忘録


蒲田行進曲(英題:Fall Guy)

脚本:40点
演技・演出:20点
撮影・美術:20点
編集:10点
音響・音楽:10点
合計100点


 深作欣二監督の映画で一番好きな作品です。深作欣二の熱さとつかこうへいの熱さが交じりあって猛烈な熱量が生まれた作品に仕上がっています。一つ一つのシーンを思い出せる映画もほとんどありませんが、この映画の一期一会は脳裏に焼き付いています。この映画の脚本構成は後の喜劇作品に多大なる影響を与えています。映画だけではなくドリフやとんねるず、かくし芸などでもパロディ作品が生まれています。子供の頃はテレビで良く放送されていましたが、銀ちゃんの暴走が現在のテレビ放映の規定を超えているので放送できないんだと思います。
 序盤から松坂慶子のヌードに釘付けにされたかと思えば、風間杜夫の銀ちゃんのとんでも具合がすごくいいんです、当時はさほど風間杜夫は売れてなかったのに売れている人を演じていて、それなのに違和感が無いんですよね。売れている人に見えるんです。あのキレのある暴走ぶりはハリウッド作品でも見られないものです。また、ヤスの『これがこれなもんで』のアクションシーンのダイナミックさがすごいんです。志穂美悦子、真田広之、千葉真一と本人役のスターとのアクションシーンが心地よいほど軽快なテンポで続きます。
 クライマックスの階段落ちについては、熱いですよね。役者の魂を感じる熱のあるセリフ、本当に魂を揺さぶられたと思えるほど感動してしまいました。そこからの、〇〇オチですよね。なんかさっぱりした気持ちになるのが不思議です。

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蒲田行進曲 あらすじ

東映京都撮影所は、5年に1度の大作「新選組」の撮影に沸いていた。さっそうと土方歳三に扮して登場したのは、その名も高い“銀ちゃん”こと倉岡銀四郎(演:風間杜夫)である。役者としての華もあり、人情家でもあるのだが、感情の落差が激しいのが玉にキズ。こんな銀ちゃんに憧れているのが大部屋俳優のヤス(演:平田満)。ヤスの目から見れば銀ちゃんは決して悪人ではない、人一倍、仕事、人生に自分なりの美学を持っているだけだ。ある日、ヤスのアパートに銀ちゃんが、女優の小夏(演:松坂慶子)を連れて来た。彼女は銀ちゃんの子供を身ごもっていて、スキャンダルになると困るのでヤスと一緒になり、ヤスの子供として育ててくれと言うのだ。ヤスは承諾した。やがて、小夏が妊娠中毒症で入院するが、ヤスは毎日看病に通った。その間、ヤスは、撮影所で金になる危険な役をすすんで引き受けた。小夏が退院して、ヤスのアパートに戻ってみると、新品の家具と電化製品がズラリと揃っていた。だが、それとひきかえにヤスのケガが目立つようになった。それまで銀ちゃん、銀ちゃんと自主性のないヤスを腹立たしく思っていた小夏の心が、しだいに動き始めた。そして、小夏はヤスと結婚する決意をし、ヤスの郷里への挨拶もすませ、式を挙げて新居にマンションも買った。そんなある日、銀ちゃんが二人の前に現われた。小夏と別れたのも朋子という若い女に夢中になったためだが、彼女とも別れ、しかも仕事に行きづまっていて、かなり落ち込んでいるのだ。そんな銀ちゃんをヤスは「“階段落ち”をやりますから」と励ました。“階段落ち”とは、「新撰組」のクライマックスで、斬られた役者が数十メートルもの階段をころげ落ち、主役に花をもたす危険な撮影なのだ。ヤスは大部屋役者の心意気を見せて、なんとか銀ちゃんを励まそうと必死だった。“階段落ち”撮影決行の日が近づいてきた。ヤスの心に徐々に不安が広がるとともに、その表情には鬼気さえ感じるようになった。心の内を察して、小夏は精一杯つくすのだが、今のヤスには通じない。撮影の日、銀ちゃんは、いきすぎたヤスの態度に怒り、久しぶりに殴りつけた。その一発でヤスは我に帰った。撮影所の門の前で、心配で駆けつけた小夏が倒れた。“階段落ち”はヤスの一世一代の演技で終った。小夏がベッドの上で意識を取り戻したとき、傷だらけのヤスの腕の中に、女の子の赤ん坊が抱かれていた。

蒲田行進曲 スタッフ

監督:深作欣二
製作者:角川春樹
企画:松竹映像
原作・脚本:つかこうへい
音楽:甲斐正人
題字:和田誠
撮影:北坂清
美術:高橋章
録音:平井清重
整音:荒川輝彦
照明:海地栄
編集:市田勇
助監督:比嘉一郎
背景:西村三郎
技斗:菅原俊夫上野隆三三好郁夫
スタント指導:西本良治郎ジャパン・アクション・クラブ
スタント:猿渡幸太郎ジャパン・アクション・クラブ
現像:東洋現像所
プロデューサー:佐藤雅夫東映)、斎藤一重東映)、小坂一雄松竹映像
製作会社:松竹/角川春樹事務所
配給:松竹

蒲田行進曲 キャスト

小夏
演 – 松坂慶子
10年前に映画で主演を張っていたが現在は売れなくなった女優。現在は女優の仕事自体はほとんどない様子だが、時々撮影所に訪れることがあるため、スタッフや俳優たちとも顔なじみ。物事を勝手に決めてしまう銀四郎の言動に振り回されそのたびに傷つけられるが、彼を愛する気持ちが強い。銀四郎の子を宿し妊娠4ヶ月の身体で彼に命じられてヤスと結婚した後は、主婦となり夫婦生活が上手くいくように夫を支える。恋愛においては男に尽くすタイプで、好きな男のために何かをしてあげたいという思いが強い。家事全般が得意。
銀四郎
演 – 風間杜夫
スター俳優で、小夏の恋人。周りから『銀ちゃん』と呼ばれている。仕事場ではヤスたち数人の大部屋の役者を従えて威張っている。プライドが高く豪快で手荒い性格で日常的に傍若無人に振る舞うが、意外と打たれ弱い所がある。小夏からはその性格を「純粋過ぎて子供がそのまま大人になったような人」と評されている。また、普段から声が大きくべらんめえ口調のような話し方と大げさな芝居臭い表現を用いるのが特徴。見た目に違わず私服は派手な物を好み、愛車のキャデラックの車体もカーステッカーを貼りまくっている。ただし車の免許は持っていない。
ヤス
演 – 平田満
大部屋俳優。銀四郎の舎弟的存在。10年間売れない役者をしながら、仕事場での銀四郎の世話をする生活をしている。銀四郎をかなり慕っているが、彼が思いつきで色々と命じるため気苦労が絶えない。真面目で健気で役者の仕事にひたむきな性格だが、銀四郎との生活で愛想笑いが癖づいている。ジェームス・ディーンに憧れており自宅アパートの壁にポスターを貼っている。元々女優としての小夏のファン。ほどなくして銀四郎の子を妊娠中の小夏と結婚した後は、斬られ役の端役やスタント役などの一役数千円のバイトで日銭を稼ぐ。
朋子
演 – 高見知佳
銀四郎ファンの若い娘。初めて銀四郎に会った時に右太ももにサインをしてもらったことがきっかけでその後付き合い出す。元気で明るいが早口で喋りまくる。小夏とは違い家事は苦手。
監督
演 – 蟹江敬三
銀四郎から橘に媚びを売っていると思われている。冒頭で映画の見せ場であるラストシーンの階段落ちが危険なため、階段落ちの役をやりたがる役者もおらず中止になったことを残念がる。

演 – 原田大二郎
映画やテレビで活躍する人気俳優。劇中劇では新撰組と敵対する坂本龍馬役を演じる。仕事場では銀四郎とお互いにライバル視しており、どちらが撮影時の顔のアップの数が多いかなどを張り合っている。
助監督
演 – 清水昭博
トクさん
演 – 岡本麗
作中の撮影所の床山(とこやま)。小夏と親しくしており、彼女にヤスとの結婚について助言する。
山田
演 – 汐路章
銀四郎の舎弟たち
演 – トメ(榎木兵衛)、勇二(萩原流行)マコト(酒井敏也
ヤスと同じく大部屋俳優で、仕事場で銀四郎に付いて身の回りの世話をしている。皆一様に、日常的に銀四郎に好き勝手なことを命じられてその都度戸惑いながらも、何とか要望を聞き入れており慕っている。ヤスとの仲間意識も強く、彼が階段落ちをやろうとした時に心配して皆で必死に辞めさせようとする。
大部屋A
演 – 石丸謙二郎
撮影所の社員。本社や劇場の上役が撮影現場に訪れた時に対応し、階段落ちで使われる階段について説明する。
ヤスの母
演 – 清川虹子
熊本県人吉市の山に囲まれた町で暮らす。ヤスが小夏と結婚することになり、地元住民と共に熱烈に歓迎する。ヤスの性格を熟知しており、小夏に夫婦として添い遂げて欲しいと伝える。
千葉真一
演 – 千葉真一 (友情出演・本人役)
ヤスがビルから落下するスタントシーンを演じる劇中劇の現代劇で、敵に向かって機関銃を撃ちまくる役で登場。
志穂美悦子
演 – 志穂美悦子 (友情出演・本人役)
ヤスが斬られ役として出演する劇中劇の時代劇で、姫役として敵と対峙して華麗な殺陣を披露する。
真田広之
演 – 真田広之 (友情出演・本人役)
ヤスが斬られ役として出演する劇中劇の時代劇で、連獅子のような格好でなぎなたを用いて殺陣を披露する。

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