博士と彼女のセオリーは、2014年製作のイギリス映画。理論物理学者のスティーヴン・ホーキング博士の元妻であるジェーン・ホーキング(Jane Wilde Hawking)から見たスティーブン・ホーキングやその他の人々との人間関係を描いている。監督はジェームズ・マーシュ、主演はエディ・レッドメインとフェリシティ・ジョーンズが務めた。
博士と彼女のセオリー 映画批評・評価・考察
博士と彼女のセオリー(原題:The Theory of Everything)
脚本:34点
演技・演出:18点
撮影・美術:17点
編集:8点
音響・音楽:9点
合計86点

生きる希望をつないだのは、無限の愛。車椅子の天才物理学者ホーキング博士。その知られざる愛の物語。エディ・レッドメインが、難病に立ち向かい宇宙論などの研究を続けたイギリスの天才物理学者スティーヴン・ホーキング博士を熱演、アカデミー主演男優賞に輝いた感動作。
理論物理学者スティーヴン・ホーキングと結婚することになった女性ジェーン・ホーキングによる2007年の回想録『無限の宇宙 ホーキング博士とわたしの旅』をアンソニー・マッカーテンが脚色したものであり、ジェーンの側から見たスティーヴン・ホーキングとの人間関係、ALS患者の配偶者でいる苦労、クリスチャンと無神論者の結婚、夫と妻の双方が浮気をすることになった状況など、複雑で生々しい人生事情、予想外の展開となってもなお2人の間にある愛が描かれている。2014年9月7日にトロント国際映画祭で世界初公開、2015年1月1日に英国で初公開された。第87回アカデミー賞では5部門にノミネートされ、エディ・レッドメインが主演男優賞を受賞した。
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博士と彼女のセオリー あらすじ(ネタバレ)
1960年代のケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジで物理学や宇宙論を学んでいるスティーヴン・ホーキングは、同じ大学で文学を学んでおりスペイン語とフランス語も話せ中世のスペインの詩を研究しイングランド国教会の熱心な信徒であるジェーン・ワイルドとキャンパスで出会い、恋に落ちる。無神論者のスティーヴンと熱心なクリスチャンのジェーンの恋である。
スティーヴンは体が次第に自由に動かなくなり、とうとうキャンパスで倒れ搬送され、医師から筋肉が動かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)にかかっており余命2年と宣告される。ジェーンはスティーヴンの父親からスティーヴンとの関係を諦めるほうが賢明だと諭され、「ステイーブンを支える戦いは、結局、惨めな敗北に終わる」と警告されるが、ジェーンは「私はスティーヴンを愛しているし、スティーヴンも私を愛している。皆でスティーヴンを支えなくては」と言い、スティーヴンと結婚する。
さいわい「男性としての機能」というのは筋肉とは違うメカニズムで作動しているのでスティーヴンがALSでも二人は男児を授かり、スティーヴンは学業も続けブラックホールの時空の特異点と「時間の始まり」に関する論文をデニス・シアマ他指導教官たちから絶賛され博士号を無事取得する。学会でホーキング放射に関する発表をし、ブラックホールは物質を吸い込んでいるだけでなく粒子の放射もしており小さくなってゆきやがて爆発し消滅する、と発表すると、馬鹿馬鹿しいと退場する学者が1名いたが、ソ連の科学アカデミーの学者はその理論の真価を認め、世界の学者も皆同様に喝采した。だがじわじわと体も不自由になってきて、車椅子や電動車椅子を使うようになり、食べ物の咀嚼も困難になり喉につまらせることが増えてゆく。ジェーンはALSのスティーブンの世話と長男ロバートの育児の両方をこなさなければならずストレスが溜まる上に、長男ロバートがまるで父親がいないような人生を生きていると思えることにも悩む。
ジェーンの育った家庭は皆熱心なイングランド国教会の信徒であり、ジェーンの母はジェーンの心理状態を心配し、教会の聖歌隊に参加することが心に良い効果をもたらすと助言するのでジェーンはその助言に従い聖歌隊に参加する。聖歌隊の指導とピアノ伴奏をクリスチャンの奉仕活動として行っている男性ジョナサンが、ジェーンの息子のピアノ教師としてホーキング家に来訪するようになり、いかにもクリスチャンらしく弱者に対して優しくて、「1年ほど前に妻を亡くし、子もいなく寂しくて時間もあるので」と言ってホーキング家を支援することを申し出るので、スティーブンはジェーンにも支えが必要だと考え、その申し出を受け入れる。ジョナサンは身体の不自由なスティーヴンの代わりに父親のような役を担い、子どもからも慕われ、一家とジョナサンの交流は深まる。
夫婦は3人目の子どもティモシーが誕生した。だが周囲の皆がティモシーはジェーンがジョナサンと浮気して妊娠した子だと疑い、スティーブンの父や母までが疑い、それを立ち聞きしたジョナサンは「噂になっている。私達は距離を置くべきだ」と言い、距離を置くべき理由が他にもある、と言って「君が好きだから」と告白すると、ジェーンも「私も貴方が好き」と告白することになり、結婚相手以外の人に対して好きという気持ちが生じたからこそ距離を置く必要があるとジェーンも悟り、ジョナサンのホーキング家への出入りを止める。
だが一旦つながってしまった人間関係やジョナサンとの気持ちのつながりは簡単に切れるものではなく、スティーヴンがフランスボルドーでのオペラに招待され飛行機で行く予定となり飛行機嫌いのジェーンと子どもたちは車で同地に行きキャンプをして過ごすために手助けが必要となった際に、男女のことに不用心なスティーブンはうかつにも、ジョナサンの助けを借りることを提案する。これでジェーンとジョナサンが再会し、しかもスティーヴン抜きで親密な時間を持てることになった。夜にスティーヴンがオペラを観劇している間、ジェーンと子供たちとジョナサンはキャンプ場にいるが、夜のキャンプ場でジェーンは誰にも気づかれないようにこっそりジョナサンのテントに近づきジョナサンを呼ぶ。浮気である。ジェーンがそんなことをしている最中、スティーヴンはオペラ観劇中に呼吸困難になり倒れ、病院に搬送され生命維持装置に繋がれて昏睡状態になり、駆けつけたジェーンは医師から、死を選ぶかあるいは命は助かるが声が一生出せなくなる気管切開を選ぶか、と迫られ、生還させるためやむを得ず、声が出なくなる後者を選択する。
声が出せなくなったスティーヴンのために、まばたきで文字を表現できる「スペリングボード」を使うことにし、スペリングボードに習熟している有能な女性看護師エレインを雇い、その後、コンピュータ式入力装置や音声合成器を使うようになる。電子装置を使いスティーヴンは《時間》に関する一般読者向けの本である『ホーキング、宇宙を語る : ビッグバンからブラックホール』を執筆し、世界的なベストセラーになる。だがスティーヴンは看護師エレインに世話をされるうちにきわめて親しくなってゆき、スティーヴンが普通は他人に見せない個人的なことを助ける役、たとえば男性的興味を満たすため男性雑誌(ポルノ雑誌)の『ペントハウス』のヌード写真を見るためにページをめくる役までエレインが喜んで積極的に行うようになり、(またその他にも、スティーヴンの性的な興味による求めに応じて エレインは “何らかの性的なサービス”を提供したらしく)、つまりスティーヴンとエレインは看護や介護という関係を越えて親密になりすぎてしまう。いつのまにかスティーヴンのことは全てエレインが取り仕切るようになり、妻ジェーンはエレインの許可を得なければスティーブンに近づくこともできない状況に陥る。
スティーブンのほうはジェーンに自分の気持ちを隠していたようだが、ある日「アメリカでの授賞式にエレインを連れてゆき、面倒を見てもらう」と音声合成装置でジェーンに告白したことで、スティーブンから二股をかけられているどころか、エレインとの《女としての戦い》にすでに負けてしまったことをはっきりと悟る。スティーブンは物理学者で物理的な《時間》の不思議に関する著作で世界的に有名になった人物だが、その妻ジェーンは男と女の《時間》の不思議を発見したのだった。思い返せば、余命わずか2年と宣告され二人の時間は短く終わるはずだったのに、実際にはスティーブンは長生きし、二人は長くて紆余曲折に満ち不可思議な《時間》を過ごしたのである。2人は離婚し、しばらくしてジェーンはジョナサンと再婚する。
それから何年も経て、スティーヴンが大英帝国勲章(CBE)を受勲することになり、エリザベス2世女王からスティーヴンとジェーンは一緒にバッキンガム宮殿に招待され、英国人として光栄な時間をジェーンも味わう。女王からは『宇宙を語る』は「難しいけど売れている本なのね」と言われる。宮殿の庭でジェーンは、自由社会主義者であるスティーヴンに対し、あなたの主義に反するならナイトの称号は辞退すればいいわ、と言う。離婚はしたが、ジェーンはスティーヴンのことを一番理解しているのである。「おめでとう。今日はありがとう、すばらしかった。私たちの関係もすばらしかったわね」と言うジェーンに対し、スティーヴンは「私たちが創り上げたものを見て」と言う。二人の眼には、成長した3人の子どもたちが楽しげに遊ぶ、とても美しい光景が見えている。スティーヴンは時間を逆行させるようにして時間の始まりを探求したが、同様に、もしもスティーブンとジェーンの時間を逆行させて二人の愛の始まりの瞬間を探求することができるなら、それはスティーブンがケンブリッジのキャンパスでジェーンの姿を初めて見た瞬間だったことになる。あの瞬間に、まるでビッグバンのように、二人の愛の宇宙が誕生したのだ。
博士と彼女のセオリー スタッフ
監督:ジェームズ・マーシュ
脚本:アンソニー・マッカーテン
原作:ジェーン・ホーキング『無限の宇宙 ホーキング博士とわたしの旅』
製作:ティム・ビーヴァン,リサ・ブルース,アンソニー・マッカーテン,エリック・フェルナー
音楽:ヨハン・ヨハンソン
撮影:ブノワ・ドゥローム
編集:ジンクス・ゴッドフリー
製作会社:ワーキング・タイトル・フィルムズ,電通,フジテレビジョン
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ,フォーカス・フィーチャーズ,東宝東和
博士と彼女のセオリー キャスト
スティーヴン・ホーキング:エディ・レッドメイン
ジェーン・ワイルド・ホーキング:フェリシティ・ジョーンズ
エレイン・マッソン:マキシン・ピーク
スティーヴンの2番目の妻。
ジョナサン・ジョーンズ:チャーリー・コックス
ジェーンの2番目の夫。
ベリル・ワイルド:エミリー・ワトソン
ジェーンの母親。
ジョージ・ワイルド:ガイ・オリヴァー=ワッツ
ジェーンの父親。
フランク・ホーキング:サイモン・マクバーニー
スティーヴンの父親。
イソベル・ホーキング:アビゲイル・クラッテンデン
スティーヴンの母親。
フィリパ・ホーキング:シャーロット・ホープ
スティーヴンの妹。
メアリー・ホーキング:ルーシー・チャペル
スティーヴンの妹。
デニス・シャーマ:デヴィッド・シューリス
スティーヴンの師。
キップ・ソーン:エンゾ・シレンティ
アイザック・カラトニコフ:ゲオルグ・ニコロフ
ダイアナ・キング:アリス・オル=エウィング
バシル・キングの妹でスティーヴンの友人。
ブライアン:ハリー・ロイド
スティーヴンのルームメイト。
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