バラキは、1972年公開のイタリア・フランス・アメリカ合衆国の合作映画。オメルタ(血の掟)を破り、現役のマフィア構成員で初めてマフィアおよびコーサ・ノストラの実態をアメリカ議会(バラキ公聴会)で証言したジョゼフ・ヴァラキの証言を基にした、ピーター・マーズ(彼は『セルピコ』の著者でもある)のベストセラー『マフィア/恐怖の犯罪シンジケート』(The Valachi Papers, 日本リーダースダイジェスト社)の映画化。ヴァラキの証言を通して、オメルタから始まるコーサ・ノストラ入会から出世、逃亡、そして当局に保護されるまでを描くことで、ラッキー・ルチアーノ等、実名で登場する本物のマフィア、コーサ・ノストラの歴史・実態が解り易く忠実に再現された。
バラキ 映画批評・評価・考察
バラキ(原題: The Valachi Papers)
脚本:36点
演技・演出:17点
撮影・美術:16点
編集:8点
音響・音楽:7点
合計84点
今作品は日本国内でも大ヒットした作品で、外国人の映画スターでチャールズ・ブロンソンの知名度も高かったように思います。僕はまだ生まれていませんでしたが、後にテレビ放送で見た記憶があります。派手な銃撃戦があるわけではありませんが、刃物が生々しく手に汗握る迫力がある映像でした。当時見た時より今の方が画質補正されて見やすくなっていますし、生々しさは昔以上でした。
バラキ あらすじ(ネタバレ)
1962年6月22日。ジョージア州アトランタの連邦刑務所。ジョゼフ・バラキ(C・ブロンソン)は同房の囚人を鉄パイプで殴り殺した。バラキの驚ろくべき告白が始まる序章であった。その日以前から、彼は刑務所内で命を狙われていることに気づいており、看守に独房に入れてくれるよう頼んだが無駄だった。同じ刑務所にいるビート・ジェノベーゼ(L・バンチュラ)に話せば判ってもらえると考えた彼は、ジェノベーゼに会ったが、その結果、彼はさらに恐怖のどん底につき落された。ジェノベーゼ自身の指令によって、彼は命を狙われていたのだ。しかし、その日バラキが殺した男は誰とも関係ない人間だった。彼は自責の念と、彼のボスであり、絶対の権力者であるジェノベーゼに対する復讐の念から、彼が所属していた組織“コーザ・ノストラ”の秘密を係官ライアンに話し始めた。
1904年、ハーレムで生まれたバラキは不良少年としてシンシン刑務所にぶち込まれ、そこでトニー・ベンダーとドミニク・ペトリリ(W・キャリ)と知りあい、ファミリーの一つマランツァーノ(J・ワイズマン)一家の一員となった。マランツァーノは、当時ニューヨーク暗黒街最大のボスであるジョー・マッセリア(A・スペリ)に対抗して勢力争いをしている最中だった。この抗争が“カステラマレーゼ戦争”と呼ばれ、バラキの働きは認められた。これによって彼はもっと大きな組織へ入れることになり、ガエタノ・レイナ(A・ナザーリ)と血の誓いを行い“兄弟”となった。しかしレイナはすぐ殺され、その葬儀の席上、ルチアーノとマランツァーノは後日、話し合いの席を持つ約束をした。数日後、ルチアーノの招待によってレストランに現れたマッセリアは、彼の部下によって殺された。平和が戻った。マランツァーノは全国からボスたちを集めて、“コーザ・ノストラ”の組織をととのえた。ニューヨークは5大ファミリーに分れ、ルチアーノはその一つのボスになった。マランツァナーノは全米24ファミリーの上に立つ大統領で、バラキはその親衛隊に属し、ジェノベーゼはルチアーノのアンダーボスだった。しかし、二、三カ月すると再び緊張が起こった。マランツァーノとルチアーノが反目しだしたのだ。
1931年9月10日。マランツァーノは警官を装った四人の男にナイフで刺され、死亡した。バラキは身の危険を感じレイナの未亡人にかくまってもらい、かねてより好意を抱いていた娘マリア(J・アイアランド)と結婚することになった。バラキはやがてジェノベーゼの部下となり、スロット・マシン20台分の権利をもらった。数年を経て、ルチアーノが売春容疑で逮捕され30年の刑でイタリアに追放された。その後、ジェノベーゼがボスになったものの、戦いが激しくなるにつれ、身の危険を感じた彼もイタリアに逃れた。
1946年、アメリカに戻ったジェノベーゼは組織の立ち直しをはかり、今まで権力を握っていたアルバート・アナスタジア(F・トッツィ)を始めとする邪魔者を次々に殺し、再び最高のボスの地位を築いた。今ではレストランの経営者として幸福な家庭を持つバラキも、この権力争いにまき込まれ、麻薬に手をだすようになった。そして取引きの最中、捕われた。ジェノベーゼも麻薬大量所持で逮捕された。1960年のことだった。トニー・ベンダー(F・バレカ)の陰謀だったが、、ジェノベーゼはバラキも仲間だと思い込み2万ドルの賞金をかけて刑務所内のバラキを狙ったのだ。
1963年、上院審問委員会は、組織犯罪史上、最も重要な証人ジョゼフ・バラキの証言を聞いたが、委員たちは自分たちの売名のために、彼に時代錯誤的な“ギャング物語”を求めた。再び独房に戻ったバラキはへ仲間を裏切った自責の念と、彼が信用したアメリカなる組織が全く駄目なものであることに絶望し、自殺を図った。FBIのライアンに発見され、彼は一命をとりとめた。ジョゼフ・バラキは、ジェノベーゼの死後まで、完全警備の独房の中で生きた。逃亡をふせぐためではなく、中に入り込めないようになっている独房の中で--。
バラキ スタッフ
監督:テレンス・ヤング
脚本:スティーヴン・ゲラー,マッシモ・デ・リータ,アルドゥイーノ・マイウリ
原作:ピーター・マーズ
製作:ディノ・デ・ラウレンティス
製作総指揮:ニーノ・クリスマン
音楽:リズ・オルトラーニ
撮影:アルド・トンティ
編集:ジョニー・ドワイヤー
配給:コロンビア ピクチャーズ,ヘラルド
バラキ キャスト
ジョゼフ・ヴァラキ:チャールズ・ブロンソン
ヴィト・ジェノヴェーゼ:リノ・ヴァンチュラ
マリア:ジル・アイアランド
サルヴァトーレ・マランツァーノ:ジョセフ・ワイズマン
トニー・ベンダー:グイド・レオンティーニ
ギャップ:ワルテル・キアーリ
ガエターノ・レイナ:アメデオ・ナザーリ
アルバート・アナスタシア:ファウスト・トッツィ
ラッキー・ルチアーノ:アンジェロ・インファンティ
ジョー・マッセリア:アレッサンドロ・スペルリ
サレルノ:マリオ・ピラー
バック:フレッド・ヴァレカ
ライアン:ジェラルド・S・オローリン
レイナ夫人:プペラ・マッジオ
ドナ:マリア・バクサ