いちご白書は、1970年公開のアメリカ合衆国の映画。アメリカの学園紛争の中に描かれたある青春。製作は「汚れた7人」のアーウィン・ウィンクラー、とロバート・チャートフのコンビ。監督はテレビ出身の新人スチュアート・ハグマン。ジェームズ・クーネンの原作を新進劇作家イスラエル・ホロヴィッツが脚色。1968年に起きたコロンビア大学の学園紛争をモチーフとし、70年・第23回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した青春映画の名作。
いちご白書 映画批評・評価・考察
いちご白書(原題:The Strawberry Statement)
脚本:34点
演技・演出:17点
撮影・美術:16点
編集:8点
音響・音楽:9点
合計84点
1960年代、アメリカの大学で実際に起きた大学闘争をモチーフに、学生運動に身を投じる若者たちを鮮烈な映像で描き、カンヌ映画祭審査員賞を受賞した青春映画。キャンパスの近くの公園を軍の施設にしようとする大学に反発した学生たちがストライキを決行。ボート部のサイモンは、活動家の女子学生リンダと恋に落ち、活動にのめり込んでいくが…。バフィー・セントメリーの「サークル・ゲーム」をはじめ時代を彩る名曲も印象的。
『いちご白書』という題名は、コロンビア大学の学部長ハーバート・A・ディーンの発言に由来する。ディーンは大学の運営についての学生の意見を、学生たちがイチゴの味が好きだと言うのと同じくらい重要さを持たないものとして見下した。ディーンは事実が間違った形で引用されたとしばしば述べている。学内ラジオ放送局 WKCR-FMによる1988年のインタビューによれば、彼にとって大学のポリシーに対する学生の意見は重要であるものの、もし理にかなった説明がないものなら、彼にとっては「イチゴが好きな学生が多数派か否か以上の意味を持たない」、というのが彼の主張である。
いちご白書 あらすじ(ネタバレ)
サイモン(ブルース・デイヴィソン)の大学は、目下ストライキ中だ。学校当局が、近所の貧しい子供たちの遊び場になっている土地に、予備将校訓練隊のビルを建てようとしたのが、そもそもの始まりだった。これに社会不安、政治状況がからみあって、騒ぎは深刻の度を加えていった。サイモンはボート部員で、学校友だちのチャーリー(ダニー・ゴールドマン)と同居していたが、ある日、見物がてら警備線の張りめぐらされた、構内に入って行った。チェックを受けて本館に入ると、内は占拠学生で賑わっていた。総長室で用を足すカップル、天井から入り込むベントン博士(イスラエル・ホロヴィッツ)、オルガナイザーのエリオット(ボブ・バラバン)、議長役の学生(ジェームズ・クーネン)、など、サイモンの好奇心を刺激してやまなかった。そこで、偶然、校門のところで魅かれた女の子に出会った。彼女はリンダ(キム・ダービー)といい、女性解放委員をしていた。リンダと知り合ってから、サイモンは積極的に闘争に参加するようになり、舵手のエリオット(バッド・コート)を、篭城組にひき入れてしまった。しかし、リンダには、闘争に対するサイモンの態度が気に入らず、またボーイフレンドのいる身で、いつもサイモンと一緒にいることにもたえられず、彼から去って行ってしまった。リンダのいなくなった篭城生活は、サイモンにとって、バラ色の光を失ってしまったが、反対にゲバルト闘争に対する本質的な眼が開きはじめた。そして、右翼のボート部員ジョージ(マーレイ・マークロード)に殴られたことから、急速に、運動の渦中へ入っていった。その彼の意識の高揚を待ち受けていたかのように、リンダが彼のところへ戻って来た。彼女と同じ目的のため、手をたずさえて行動することに、彼ははじめて、すがすがしい生き甲斐のようなものを感じた。時が経つにつれて、当局の腐敗が暴露され、学生の怒りは、奔流となってあふれ出した。ついに、当局は実力行使を決定。武装警官隊は州兵の応援を得て、バリケードを破り、屋内に突入して来た。講堂に数百名の学生たちが集結していた。侵入者たちは、大義名分を盾に、暴力をふるい、襲いかかった。学生たちは、学内いっぱいに波紋のような輪をつくり、怒りをころして抗議をつづけていた。しかし、棍棒はようしゃなく振りおろされ、輪はたちまち寸断されてしまった。学生たちは、次々に排除され、サイモンとリンダもその中にいた。2人は、たがいにかばい合い、権力の暴力に抵抗した。棍棒がリンダの顔を鮮血で染めた。サイモンは純粋な怒りをもって、警官に躍りかかっていった。だがやがて、学生の反抗は、圧倒的な武力の前に鎮圧されてしまった。しかし、いま、沈黙をよぎなくされた、これら若き怒りたちは、明日の反乱の日を求めるかのように、学内を彷徨い続けていた。
いちご白書 スタッフ
監督:スチュアート・ハグマン
脚本:イスラエル・ホロヴィッツ
原作:ジェームズ・クネン
製作:アーウィン・ウィンクラー,ロバート・チャートフ
音楽:イアン・フリーベアン=スミス
主題歌:バフィ・セント=メリー「サークル・ゲーム」
撮影:ラルフ・ウールジー
編集:マージョリー・ファウラー,フレドリック・スタインカンプ,ロジャー・J・ロス
製作会社:MGM
いちご白書 キャスト
サイモン:ブルース・デイヴィソン
リンダ:キム・ダービー
エリオット(ボート部コックス):バッド・コート
ジョージ:マーレイ・マクロード
エリオット(オルグ):ボブ・バラバン
ルーカス:ブッカー・ブラッドショー
スワッチ:マイケル・マーゴッタ
生徒会長:ジェームズ・クネン
食料品店主:ジェームズ・ココ