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哭悲/THE SADNESS|この悲しみと悪意は感染する。残酷すぎる描写に世界が戦慄した容赦なきエクストリーム・ホラー

哭悲/THE SADNESS
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哭悲/THE SADNESSは、2021年公開の台湾映画。人間の凶暴性を助長するウイルスが蔓延した台湾を舞台に、地獄絵図と化した街で再会しようと奔走する男女の運命を、容赦ないゴア描写で描いたパニックホラー。監督は、台湾在住のカナダ人でアニメーターとしても活動しているロブ・ジャバズ。大のホラー映画好きでもあるロブ・ジャバズは、様々な名作ホラーからインスピレーションを得て、パンデミックを経験した後の世界で目を背けたくなるような暴力が横行するという、決して絵空事とは言い切れない衝撃的な映画を創り上げた。そんな本作は、徹底されたゴア描写とスリル満点のストーリーテリングが話題を呼ぶ。極めて過激な暴力描写(走行中の密室になった地下鉄や、患者の命にかかわる病院といった公共施設での凄惨な虐殺シーンは、危険な無差別殺傷事件やテロを誘発する恐れがある)を含んでいるため、日本では「R18+」の指定を受けた。

哭悲/THE SADNESS 映画批評・評価・考察


哭悲/THE SADNESS(原題:哭悲、英題:The Sadness)

脚本:32点
演技・演出:16点
撮影・美術:18点
編集:9点
音響・音楽:7点
合計82点

これまでの名作ゾンビ映画を生み出したジョージ・A・ロメロ、ルチオ・フルチ、ダン・オバノン、サム・ライミ、ダニー・ボイル、ザック・スナイダー監督などのサンプリング映画として見る向きもあるかと思いますが、かなりうまくまとめていると思います。ポール・W・S・アンダーソンやイーライ・ロス監督もよくこういうサンプリングを行っていますが、彼らより上手いし個性的なように思いました。また、匂いを感じるようなアジア映画の生々しい描写も加わって、性描写も過激であり暴力的です。これまでの監督が奥ゆかしい表現だったように思えるほど、過激描写に終始している凄みのある作品でした。この映画で個人的に怖かったのは、実際の事件で起きたことを連想し、追体験したような感覚に陥ったシーンがいくつかありました。地下鉄のシーンや中年サラリーマンの頭をつぶすシーンなど実際の事件と重なるところがあり、想像してしまい身震いがしました。

視聴に耐えられないトラウマ級の映画なので、お薦めはできない。でも耐性のある人にはお薦め!


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哭悲/THE SADNESS あらすじ(ネタバレ)

台湾ではインフルエンザに似た感染症である「アルヴィンウイルス」が発見され、医療専門家や政府関係者は議論を繰り広げている。政府は、過剰な反応が社会不安を煽り選挙に影響するなどの政治的理由で、アルヴィンウイルスの拡散を防ぐための大規模な措置を講じようとしない。しかし、ウイルス学者のウォン博士は、アルヴィンウイルスが突然変異し、感染すると狂犬病に似た深刻な病気を引き起こすのではないかと警鐘を鳴らしていた。

台北に住むカップルのカイティンとジュンジョーは、朝起きると休日の予定について揉めている。気を取り直して、ジュンジョーは仕事に出かけるカイティンを駅まで送り、帰りに飲食店に寄って朝食をとろうとする。そこへやって来た血まみれで目の黒くなった老婆が、客の顔に唾を吐き、店主の顔に煮立った油を押し付け焼いてしまう。老婆の唾を浴びた客は豹変し、ナイフで他の客を刺す。驚いて逃げるジュンジョーを追いかける老婆は、同じように黒い目をした不気味な顔の男が運転する車にはねられる。これらの猟奇的な人間は、アルヴィンウイルスの感染者だった。

多くの感染者に追われ、自宅アパートに逃げ込んだジュンジョーは、カイティンにスマートフォンで危険を知らせるメッセージを送る。すると突然侵入してきた隣人のリンに、植木ばさみで襲われ指を2本切り落とされる。ジュンジョーは反撃してリンを気絶させ、負傷した右手を布でぐるぐる巻きにし、命からがらオートバイで逃走する。

一方、台北地下鉄に乗っていたカイティンは、隣に座った中年の男性サラリーマンにしつこく話しかけられていた。そこへ乗車してきた感染者が涙を流すと、ナイフで他の乗客を無差別に殺傷し、飛び散った血液を浴びた者を次々と感染させる。カイティンに話しかけてきたサラリーマンも豹変し、居合わせた小太りの女性シェンの左目を持っていた傘の先で突き刺す。凶暴化した人々は、周囲の人間を襲いまくり血まみれになりながら強姦にまで及び、車内は地獄絵図と化す。カイティンは、目を刺されたシェンを抱えて地下鉄を降りたが、傘から斧に持ち替えたサラリーマンに執拗に追われる。駅から脱出しようとしたカイティンとシェンだったが、感染者を外に出さないようシャッターを下ろそうとした警備員に憤慨し顔を殴る。

カイティンとシェン、そして警備員は病院に逃げ込み、待合室にいる患者たちと一緒にテレビで非常事態宣言を発した総統の演説を視聴する。しかし、同席する陸軍司令官は感染者で、総統を手榴弾で爆殺してしまう。カイティンはジュンジョーに助けを求めるため連絡しようとするが、途中でスマートフォンを落としたのに気付き、一緒に来た警備員のスマートフォンを取り上げて使用する。そこへ追い付いた地下鉄のサラリーマンが、斧で病院のガラス扉を破壊し、中で警戒に当たっていた警察官を殺害、患者たちにも次々と襲いかかる。瞬く間に感染は広がり、豹変した人々は血みどろの殺し合いと乱交を始める。台車の下に隠れた警備員は、サラリーマンがシェンを強姦し感染させる様子を垣間見る。どうにか生き延びた警備員だったが、逃げる途中に音を立ててしまい、凶暴化したシェンに医療用カッターで粉砕され敢え無く命を落とす。

その間、ジュンジョーは郊外に逃げ込み、通りかかった学校で、感染者の同級生にリンチされている男子生徒を発見し救出しようとするが、被害者もすでに感染者であった。さらなる逃走の末、ジュンジョーはようやくカイティンと連絡を取ることができたが、会話の最中に幻覚を見て、感染の兆候を感じる。

病院では、追い詰められたカイティンが執念深いサラリーマンの頭に消火器を何度も打ち付けて潰し絶命させる。すると、近くにあった産婦人科の病室のドアが開き、中にいたウイルス学者のウォン博士に救出される。厳重な防護服に身を包んだウォン博士は、残虐行為を抑制する治療法を見つけるため試行錯誤していた。ウォン博士は、感染者が涙を流す理由について、人を傷つけたい欲望を制御できないことへの強い罪悪感によるものだと説明する。カイティンは汚染された服をゴミ箱に入れる際、中に赤ちゃんがいるのを発見する。ウォン博士は、カイティンに免疫の有無をテストするため血清を注射し、病室にいた赤ちゃんたちにも同様のテストをしたが全員感染しており廃棄せざるを得なかったと釈明する。

カイティンは密かにスマートフォンで病院に駆けつけたジュンジョーに自分の居場所を知らせる。カイティンに免疫があることを確認したウォン博士は、ワクチンの生成に利用するため軍に救助を要請し、自分が同行しなければ正当防衛で兵士に射殺されるだろうと彼女へ警告する。救援のヘリコプターに乗せようと武装して病室を出たウォン博士だったが、外にいた凶暴な感染者には敵わず、相手を射殺したものの感染は免れなかった。カイティンは隙を見て逃げ出したが、追ってきたジュンジョーはすでに凶暴化し、途中で遭遇したウォン博士を殺す。ウォン博士は今際の際、赤ちゃんを殺すのは気分が良かったと言い残す。

ジュンジョーが感染していることに気づいたカイティンは、屋上へ通じる階段に設置された鉄格子の扉を閉鎖する。ジュンジョーは、鉄格子を隔てて感染の素晴らしさを告げ、カイティンを愛するがゆえになぶり殺したいと伝える。カイティンは階段を上りヘリポートへ向かうが、ウォン博士を連れていない彼女の運命は絶望的だった。屋上から銃声が鳴り響き、ジュンジョーは邪悪な笑みを浮かべる。

哭悲/THE SADNESS スタッフ

監督:ロブ・ジャバズ
脚本:ロブ・ジャバズ
原案:ロブ・ジャバズ
音楽:TZECHAR
撮影:バイ・ジエリー
編集:ロブ・ジャバズ
配給:クロックワークス

哭悲/THE SADNESS キャスト

カイティン:レジーナ・レイ
ジュンジョー:ベラント・チュウ
中年サラリーマン:ジョニー・ワン
ウォン博士:ラン・ウエイホア
リン:ラルフ・チウ
シェン:アップル・チェン

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