森田芳光

森田芳光

森田 芳光(もりた よしみつ、1950年1月25日 – 2011年12月20日)は、日本の映画監督、脚本家。

1981年に『の・ようなもの』で、長編映画監督デビューした。以降、シリアスなドラマから喜劇、ブラックコメディー、アイドル映画、恋愛映画、ホラー映画、ミステリ映画と幅広いテーマを意欲的に取り扱い、話題作を数多く発表した。

1981年、若い落語家を主人公とした『の・ようなもの』を、実家を抵当に入れた借金で製作してデビューした。題名は、3代目三遊亭金馬の落語『居酒屋』に出て来る「のようなもの」というフレーズから採られた。続く『シブがき隊 ボーイズ & ガールズ』は、初の大手配給作品ではあるが、予算、期間、内容とも厳しい枷がはめられたアイドル映画であり、これをきっちりとやり終えたことでプロの監督としてのスキルと評価を獲得する。

1983年、松田優作主演の『家族ゲーム』を発表する。家庭をシニカルに、暴力的に描いた、出色のブラックコメディーである。家族全員が長い食卓に、画面に向かって横一列に並んで座る何とも奇妙な食事場面など、何気無い日常の風景を非日常的に描写した、人を食った演出が評判となった。キネマ旬報ベストテン1位など同年の主要映画賞を多く受賞、一部の高評価にとどまっていた前作から大きく飛躍して、新世代の鬼才として広く注目を集める。

1984年、丸山健二原作、沢田研二主演の『ときめきに死す』を経て、薬師丸ひろ子主演の『メイン・テーマ』が大ヒットした。

1985年に、松田優作主演で、夏目漱石『それから』を映画化した。再びその年の主要映画賞を独占し、それまでの異色作路線とは異なって格調高い文芸大作であったこともあり、幅の広さを示して映画界での地位をさらに高めた。

1986年、『それから』から一転、とんねるず主演で広告代理店を描いたコメディーの怪作『そろばんずく』を発表した。バブル時代を色濃く描いた作品となった。

1989年に、吉本ばなな原作の『キッチン』を映画化した。大ベストセラー小説を原作としたにもかかわらず、興行的に大敗する。しかしビデオの売り上げは好調で、隠れた名作として愛されている。『キッチン』が興行的に失敗したことについて、「(原作がベストセラー小説であるので)あんなに(客が)入らないと思わなかったよね(笑)」「修羅場」と後に回想している。

1996年に、数年の沈黙を破って、パソコン通信による男女の出会いを描いた『(ハル)』を発表する。興行的には不入りだったが、評価は高かった。

1997年5月に、渡辺淳一『失楽園』を、役所広司、黒木瞳の主演で映画化した。人生に疲れた中年男女が不倫の果てに心中するというストーリーで、R-15指定を受ける。結果的に観客動員数が200万人を超える大ヒットとなり、「失楽園(する)」という言葉はこの年の流行語年間大賞にもなった。

1999年に、『39 刑法第三十九条』、貴志祐介原作の『黒い家』と、自身のキャリアにおいて初のサスペンスを発表する。

2002年に、宮部みゆきの大ベストセラー小説を原作とした、中居正広主演のミステリー『模倣犯』を撮った。興行的にはヒットしたが、全編にわたって独自のメディア論を展開したため、純粋なサスペンスを期待した原作者および原作ファンの怒りを買った。

2003年11月に、向田邦子脚本のテレビドラマ『阿修羅のごとく』を映画としてリメイク、4人姉妹のそれぞれの複雑な色恋を描いた。大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子、八千草薫、桃井かおりと豪華な女優陣が結集している。

2004年11月に、伊東美咲主演の『海猫』を発表した。北海道の田舎の漁師の家に嫁いだ女が、夫の弟との密通の果てに自殺するという、破滅的な恋愛を描いた作品である。伊東の演じた激しいベッドシーンをはじめ激しい性描写など青少年に有害な表現が多数指摘され、R-15指定を受けた。

2007年12月1日に『椿三十郎』が公開された。黒澤明監督のオリジナル版(1962年)を、同じシナリオを使ってリメイクした作品である。

2011年12月20日、C型肝炎による急性肝不全で死去した。61歳没。法名は「常然院釋芳映(じょうねんいんしゃくほうえい)」。

2012年3月24日に公開された、瑛太と松山ケンイチ主演の『僕達急行 A列車で行こう』が森田の遺作となった。幼少の頃から好きだった鉄道を題材に、オリジナル脚本でメガホンを執った作品で、使用された車両20路線80車両は「邦画史上最多」であるという

コメディ

家族ゲーム|どこにでもある家庭の抱えている問題をユーモアに描いたシニカルでシュールなホームコメディ。

家族ゲームは、1983年公開の日本映画。本間洋平作の同名小説を映画化。どこにでもある家庭の抱えている問題をユーモアに描いたシニカルでシュールなホームコメディ。監督は森田芳光、主演は松田優作。キネマ旬報ベスト・テン第57回(1983年)日本映画ベストワンなどを受賞した。映画批評・あらすじ(ネタバレ)・スタッフ・キャスト・映画予告編・無料動画・配信情報。
コメディ

免許がない!|免許を取るため教習所通いを始めた映画スターの悪戦苦闘を描く。

免許がない!は、1994年公開の日本映画。舘ひろし主演で贈る痛快コメディ映画。免許を取るため教習所通いを始めた映画スターの悪戦苦闘を描く。映画批評・あらすじ(ネタバレ)・スタッフ・キャスト・映画予告編・無料動画・配信情報。
ロマンス

海猫|たとえ2人の男と愛を交わしても。それが道にはずれた愛だとしても。その極みに「純愛」は存在する──

海猫(うみねこ)は、2004年公開の日本映画。谷村志穂が著した小説を映画化。刺激的な性愛描写が含まれているため、映倫でR15+指定になった。「失楽園」の監督・森田芳光が描く、待望のラブロマネスク 常に“新境地への挑戦”を続ける森田監督と、スケール感溢れる「映画女優」として期待される伊東美咲(初主演)が果敢に挑んだ、≪狂おしいまでに純粋な愛の本能≫。 風雪吹きすさぶ北の海を羽ばたく海猫のように、≪命懸けの純愛≫を巡る激しく濃厚な人間ドラマが生み出す、大きな感動が舞い降りる──。
ロマンス

失楽園|男と女はここまで愛しあえるのか。渡辺文学の頂点、遂に映画化。息をのむ究極の愛。

失楽園(しつらくえん)は、1997年公開の日本映画。渡辺淳一のベストセラー小説を森田芳光監督が映画化し大ヒットを記録した不倫ドラマ。映画批評・あらすじ(ネタバレ)・スタッフ・キャスト・映画予告編・無料動画・配信情報。
ロマンス

世界の中心で、愛をさけぶ|高校時代に死別した恋人との想い出を引きずり続ける青年が、過去を辿る旅へ。

世界の中心で、愛をさけぶは、2004年公開の日本映画。高校時代に死別した恋人との想い出を引きずり続ける青年が、過去を辿る旅を経て、やがて現在の恋人と共に生きていこうとする姿を描いた恋愛ドラマ。興行収入85億円、観客動員数620万人を記録し、この年の実写映画No.1になった(興行収入85億円も首位)。主題歌の 平井堅「瞳をとじて」も大ヒットした。
ホラー映画

黒い家|保険業界の裏側を題材にとり、恐怖のドラマを展開させるショッキング・サイコスリラー。

黒い家は、1999年公開の日本映画。第4回日本ホラー小説大賞受賞した貴志祐介の「黒い家」が原作。保険業界の裏側を題材にとり、恐怖のドラマを展開させるショッキング・スリラー。映画批評・あらすじ(ネタバレ)・スタッフ・キャスト・映画予告編・無料動画・配信情報。