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陽暉楼|女は競ってこそ華、負けて堕ちれば泥。|土佐の高知の花柳界を舞台に生きる女衒の父と芸妓となった娘との愛憎を描く!

陽暉楼
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陽暉楼(ようきろう)は、1983年公開の日本映画。西日本一を誇る土佐の高知随一の遊興、社交の場、陽暉楼を舞台に、そこでくり拡げられる様々な人間模様を描く。海外で公開された際のタイトルはThe Geisyaである。『鬼龍院花子の生涯』に次ぐ五社英雄・宮尾登美子コンビの二作目で、土佐の高知の花柳界を舞台に生きる女衒の父と芸妓となった娘との愛憎を描く。

陽暉楼(ようきろう) 映画批評・評価・考察

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陽暉楼(ようきろう)

脚本:33点
演技・演出:17点
撮影・美術:18点
編集:7点
音響・音楽:7点
合計82点

 高知の伝説の遊郭、陽暉楼、この時代の映画を見ていると過疎りまくっている今の高知が嘘のように思えてきます。高知県には何度か足を運んでいますが、もはや名残というにはボロ屋敷、廃墟が立ち並んでいるという感じです。四国で遊ぶなら高松か松山でしょうね。
 今作品の見どころは、浅野温子の脱ぎっぷりの良さでしょうか、可愛らしいので色気というには元気があり過ぎるのが彼女らしいといえば、そうなのですが、池上季実子の品と艶には敵わない感じです。作中にあるこの二人の壮絶な喧嘩シーンが凄いんです。魅力が正反対の女同士の本気のプロレスってなかなか見れるものじゃないです。五社英雄監督がさせてるんでしょうけど、ケガがつきない撮影現場だったのが容易に想像がつきます。
 緒形拳と仲代達矢を比べるのは失礼かもしれませんが、緒形拳はやはり人を演じていて、仲代達矢は人を超えたものを演じている違いがあるように思います。どちらも上手い役者ですが、緒形拳は優しい人だと思います。
 とんぼ役の仙道敦子の成長ぶりに目を見張りました。『鬼龍院花子の生涯』からたった1年でこんなに成長するんだなと思いましたし、緒形拳が将来自分の義理父になるとはこの時は想像もできなかったはずです。

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陽暉楼 あらすじ(ネタバレ)

昭和初期、土佐随一の料亭、陽暉楼を舞台に、女衒の太田勝造、その娘の芸妓・桃若、勝造の愛人・珠子らを中心とした人間模様を描く。(珠子は原作にない人物)

かつて勝造は、娘義太夫の呂鶴と駆け落ちするが、呂鶴は追っ手に斬り殺され、幼い娘が残された。娘は陽暉楼に預けられて成長し、今では売れっ子芸妓・桃若になっている。

勝造は芸妓、女郎をあっせんする女衒である。ある日、稲宗(いなそう)組から、妻の身売りに来た中学教師を紹介される。勝造が男に百円の前金を渡すと、夫婦はそのまま逃げてしまう。勝造は2人を探そうとはしなかった。

勝造の愛人・珠子は、勝造と別れて花を咲かすため芸妓になる、と言いだす。勝造は陽暉楼に連れて行くが、女将に断られる。帰りがけに桃若の姿を見かけた珠子は「これが陽暉楼の芸妓(げいこ)かいな」と捨てぜりふを吐く。桃若への対抗心から、珠子は玉水遊廓に行くことを申し出る。

ある宴席で、桃若は帝大出の銀行員・佐賀野井と出会い、恋心を覚える。一方の珠子は玉水の明月楼に入り、初めての夜にいったんは逃げ出してしまうが、意を決して店に戻る。珠子は売れっ子の女郎となる。 以前、勝造から金を持ち逃げした女は、丸子という芸妓になっており、稲宗組の指図で陽暉楼に入ることになる。

ある日ダンスホールで、桃若ら芸妓とひいき客の一行は、珠子たちに鉢合わせをする。珠子はあてつけるように佐賀野井と一緒にダンスを踊り、皆の喝采を浴びる。ダンスホールの洗面所で、桃若と珠子はつかみあいの喧嘩になる。佐賀野井から誘いをうけ約束の場所に駆けつけた桃若は、珠子との凄まじい決闘の結果、髪は乱れ、体中水びたしであった。そんな彼女を佐賀野井は抱きしめ、桃若は初めて愛の歓びを知る。

その頃、陽暉楼を守るため、動きまわる勝造を稲宗一家の者が襲った。やがて、稲宗の手は珠子にまでのび、珠子は高知から大阪・飛田へと鞍替えさせられた。一命をとりとめた勝造は、お袖から稲宗の策略でピンチに立たされていること、桃若の妊娠を知らされる。桃若の相手は、パトロンの四国銀行協会々長・堀川でなく別の男だという。そして、お袖は道後温泉に遊ぶ山岡、丸子のもとに行き、力ずくで丸子を追い払う。

一方、勝造は珠子をとり戻し、その足で稲宗の代貸し、三好のところに行き、山岡の博打の借金をたたき返し、稲宗一家との縁をたち切った。桃若は、前田から佐賀野井が三年間ヨーロッパへ行ったことを知らされショックをうけるが、子供を生もうと決心し、悩んだ末、堀川に子供は彼の子でないと打ち明けた。そんなことは承知で子供は認知しようと考えていた堀川は、自分の気持ちを踏みにじられたことに激怒し、縁切りを言い渡す。

珠子は、勝造の希望通り秀次と一緒になり、高知に店を出すことになった。そして、桃若は女の子を生み弘子と名づける。桃若は、子供のために懸命に働くが、ある日、稽古の最中、突然倒れた。結核で身を蝕ばまれていたのだ。病院に見舞った珠子は、弘子を治るまであずかると言うが、芸妓の世界の習いとして、すでに弘子はお袖の世話で里子に出ていた。お袖は、弘子を返してくれとの勝蔵の頼みに、桃若の勝手な振舞をののしる。桃若の容態は悪化し、臨終の枕もとに弘子を伴って駆けつける勝造。その夜、秀次・珠子の店を勝造が訪れ桃若の死を告げた。その時、稲宗の手下が店を襲い、ドスに倒れて秀次は死んでいった。

そして、大阪駅・三等待合室。勝造は切符を二枚珠子に渡し、用事が済むまでここで待つよう言い残し出て行く。勝造は床屋にいる稲宗、三好らを射殺するが、逃げる途中、追手に刺され絶命した。深夜の駅では、いつまでも勝造を待ち続ける珠子の姿があった。

陽暉楼 スタッフ

製作:岡田茂
企画:佐藤正之,日下部五朗
原作:宮尾登美子
脚本:高田宏治
音楽:佐藤勝
撮影:森田富士郎
美術:西岡善信,山下謙爾
照明:増田悦章
編集:市田勇
助監督:清水彰
スチール:中山健司
舞踏振付:藤間勘五郎
プロデューサー:奈村協,遠藤武志
監督:五社英雄
製作会社:東映京都撮影所,俳優座映画放送
配給:東映

陽暉楼 キャスト

太田勝造緒形拳
女衒。あだ名は「だいかつ」。普段は借金を抱える家の娘たちを芸妓や女郎として欲しがる店に斡旋する仕事を淡々とこなしている。顔に凄みがあり喧嘩が強く、怒らせると手のつけようがない。殺人で前科2犯。
稲村から後ろ盾になってやると言われた時は「(組織を作って)いまさら成り上がるつもりはありません」と断り終始一匹狼を貫いている。そのため命を狙われることになる。桃若のことは娘として愛情を持っているものの、桃若の生みの母・呂鶴が死んだ原因が自身にあったり、愛人を作ったりしているため親子関係は上手く築けていない。

太田房子(桃若)池上季実子加藤奈巳子(少女)
陽暉楼のNo.1芸妓。女将お袖に「100年に一人出るか出ないかの芸妓」とその素質を高く評されている。ただし陽暉楼や客の一部からは「見かけとは違って情が薄い、冷たい女や」と思われている。佐賀野井の子を妊娠する。
勝造によって芸妓となるべく幼いころに陽暉楼に連れてこられた。勝造の命を狙う追っ手によって母・呂鶴が死んだが、桃若にとっては勝造に殺されたようなものとして父に対し激しい憎しみを内に秘めている。母に生写しだといわれるが、生前の母の詳しい話はあまり聞かされていない。『サーカスの唄』(松平晃の歌)が大好きで少しだが歌うシーンがある。

豊竹呂鶴池上季実子(二役)
房子の生みの母。娘義太夫。美人で、過去に佐賀野井の父や堀川がのぼせ上がって通いつめたほど。その歌声が絶賛されている。勝造と駆け落ちしたが、まだ乳児だった房子を残して勝造の追っ手によって殺された。

珠子浅野温子
勝造に囲われていた愛人。大阪で娘義太夫の修業をした後、カフェーの女給になり勝造と知り合った。勝造と別れ、芸妓になりたいと申し出たが陽暉楼の女将・お袖に断られた。その後玉水遊郭の女郎として働き始め、ほどなくして一番の売れっ子となる。気が強くやり手のお袖にも動じずに話をしたり、初対面にも関わらず桃若を筆頭とする芸妓たちに向かって「なんやこれが陽暉楼の芸妓かいな、しょーもな(くだらないの意味)!」と言い放った。桃若を敵視し、挑発的な態度を取る珠子だが、後に、桃若と心を通わせるようになる。

胡遊二宮さよ子
陽暉楼の芸妓、桃若の先輩。本人によると「金持ちの優しいお爺さんを含めて2、3人の男と付き合っている」とのこと。本気で男を愛したことがないという桃若に本気の恋愛について教える。

吉弥市毛良枝
陽暉楼の芸妓、桃若の先輩。桃若が本気で男に惚れたことがないと指摘している。仲は悪くはないが桃若について「元々あの人は一皮むけば自分さえ良ければいい人間なんや」と感想を述べている。

茶良助熊谷真実
陽暉楼の芸妓、桃若の先輩。ダンスホールでひでおからチャールストンのダンスを習っていたところ、踊りの上手い珠子に邪魔をされひでおを取られた。また桃若が妊娠した時に「産むか降ろすか早く決めた方がいい」と助言をする。

助次西川峰子
陽暉楼の芸妓、桃若の後輩。作中では「父や母が病気でお金がいる」などと理由をつけては、金を前借りしている。女将お袖について裏では「あの女は鬼かヘビや!」などと嫌っている。14歳の頃から客を取らされており、その割に借金が一向に減らないと勘兵衛に食って掛かった。

とんぼ仙道敦子
陽暉楼の若い芸妓。桃若を慕っており、色々と気遣いを見せる。

〆若山本ゆか里
米蝶弓恵子
今助林彰太郎
勘兵衛花澤徳衛
陽暉楼の番頭。店の金の管理、雑用などをこなす。
篠山竹造大木晤郎
お常丸平峰子
お国星野美恵子
時江松村康世
お粂牧よし子
玉水遊郭・明月楼の雑用などをこなす老婆。
久美湖条千秋
蝶子速水典子
豆奴高原陽子
千代丸小田桐かほる
愛次伊東みつえ
芸妓津奈美里ん,斉藤可奈江,堀田明美,松村直美,安食文子,前川恵美子,玉野玲子,依田美加,深谷宏子,伊東由美,岡田仁美
舞妓上田真理,高根さつき,鈴川清子
菊江高野洋子
小鈴谷山美恵
仲居美松艶子,三谷真理子
お袖付き少女大和さゆり
銀龍の娼妓白礼花
飛田の若い娼妓徳永真由美
和久田達吉内藤武敏
池西稲葉義男
高山助役疋田泰盛
橋本正明中村錦司
ながはま造船の社長。周りからは色々と陰口を言われているが、景気が良く金払いがいいため陽暉楼ではいいお客として迎えられている。
お峯園佳也子
勝造の後妻で房子の育ての母、房子の実家で暮らす。房子は離れて暮らしており、勝造はたまにしか帰ってこないためほぼ忠と2人暮らしの生活。桃若が乳児だった頃、母乳をあげていたとのこと。『浪花小唄』や『国境の町』などの歌が好きで作中で歌っている。
玉野叔史
房子の実家で暮らす弟。目が不自由で、勝造からあまり外に出ないように言われており、ほとんど家の中で過ごしている。房子にかわいがられており、ハーモニカとサングラスをプレゼントしてもらい愛用するようになった。
井田弘樹
数年後、成長した忠役でラストシーンに出演。
老浪曲師高谷舜二
バーテンダータンクロー
川之江病院の医者平河正雄
川之江病院の看護婦永野佳寿子
高知病院の医者浜田寅彦
高知病院の看護婦世利ゆかり
土建屋風の客有川正治
武崎病院の医師袋正
床屋の亭主岩田直二
朝日館の亭主原哲男
朝日館の女房高勢ぎん子
遣手婆岡嶋艶子
大阪駅駅員大村崑
ラストシーンで、珠子が終電が行った後も駅の待合室から帰ろうとしないのを説得する。
稲村宗一小池朝雄
大阪を拠点とする稲宗(いなそう)組の親分。作中では土佐と高松の土讃線の開通工事を控えており、大金が動くとされる。その事業に関わるためには、土佐を代表する店である陽暉楼が持つ資金が必要だと店を狙っている。
三好辰吉成田三樹夫
稲宗組の組員。中学教師古田の妻・昌江が大阪から離れた場所で働きたいと申し出たため、勝造に紹介した。勝造と商売上の付き合いがあるが、邪魔な存在と考えるようになる。
金串武彦小林稔侍
稲宗組の組員。武闘派で勝造の命を狙うようになる。
南敏之成瀬正
紫雲竜荒勢
富塚奈辺悟
宮坂留吉藤田博
大木細川純一
老浪曲師高谷舜二
久代瀬崎友美
久代の父宮城幸生
チェリー澤田由美
幇間悠之亭王介
中盆秋山勝俊,大久保朝樹
職員有島淳平,島田秀雄,椿竜二
朝日桜の客平沢彰,大月正太郎
不明 – 福本清三,大城泰,川田剛史,深谷宏子

古田徳次木村四郎
大阪の天下茶屋で中学校の教師。金を借りるために妻昌江を売ろうとする。勝造から前金の百円を持ち逃げし、まもなくケンカに巻き込まれて死ぬ。

丸子(古田昌江)佳那晃子
古田の妻。前金持ち逃げの後、夫を亡くし、別の店で芸妓となり売れっ子となる。稲宗組の親分に気に入られる。元々はしおらしい女性だったが、稲宗組と関わる内に性格が豹変する。稲宗組の親分の命で陽暉楼にスパイとして送り込まれ、陽暉楼の主人を誘惑する。

若衆木谷邦臣,藤長照夫,奔田陵,武井三二

お駒上月左知子
陽暉楼の芸妓たちの世話をしている。桃若が客に会う前に助言やお願いをしている。

仁王の秀次: 風間杜夫
勝造の舎弟。勝造の指示を受け、玉水で女郎として働き始めた珠子を見守る。優しい人柄で、初めての客から逃げ出そうとした珠子に対し、無理に引き戻さず判断を委ねた。後に、珠子と土佐に小料理屋を開く。

佐賀野井守宏田村連
南海銀行の御曹司。一目見た時から桃若を気に入り好意を持つ。ダンスホールで居合わせた玉水の女郎たちから「ええ男、活動写真のスターみたいやわ」と褒められる。特技はダンスで、チャールストンを踊れる。

山岡源八北村和夫
陽暉楼を経営。表向きは真面目な商売人だが、博打好き。気の強いお袖の尻に敷かれっぱなしだが、実際には血も涙もない情のかけらもない女だと愚痴をこぼしている。

堀川杢堂曽我廼家明蝶
銀行協会の会長。桃若の上物の客で、陽暉楼の客の中で特に大事にされている。桃若からは「ほーさま」と呼ばれている。自ら年寄りと認めており、金はあるものの体力的に衰えてきている。綺麗で踊りも上手い桃若が中々客と長続きしないことを不憫に思っている。

前田徳兵衛丹波哲郎

お袖倍賞美津子
陽暉楼の女将で元芸妓。実質、陽暉楼を取り仕切っている。周りから「お母さん」と呼ばれているが、親しみより恐れられている存在。真偽は不明だが「芸妓だった時に陽暉楼の女将になるために蛇神様を祀って先代の女将を呪い殺した」と芸妓たちから噂されている。また三好からは警察も動かすやり手の女として、一筋縄ではいかない存在となっている。金串によると芸妓だった頃勝造と恋仲だった。そのため別れた今でも勝造とは仕事や桃若を通じて親しくしている。桃若を幼いころから立派な芸妓にするため手塩にかけて育てており、そのためなら時に手厳しい言動も辞さない。

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