サブスタンスは、2024年公開のフランス・イギリス・アメリカ合衆国合作映画。年齢を理由に仕事を失った、かつて一世を風靡したスターをデミ・ムーアが演じ、クローン技術に手を出した彼女が、美と若さに固執して破滅してゆく様を描く。監督コラリー・ファルジャの仕掛けた“劇薬”が世界中の映画賞を席巻!本年度 第97回アカデミー賞®受賞<メイクアップ&ヘアスタイリング賞>!!(ノミネート:作品賞/主演女優賞/監督賞/脚本賞)
サブスタンス 映画批評・評価・考察
サブスタンス(原題:The Substance)
脚本:34点
演技・演出:18点
撮影・美術:18点
編集:9点
音響・音楽:9点
合計88点
年齢を理由に仕事を失った元スターの女性が、若返りを実現するクローン技術に手を出した結果、破滅していく姿を描いたSFホラースリラーです。この作品は、美と若さへの執着、ルッキズム(外見至上主義)がもたらす悲劇、そして自己の内面と外面の葛藤を、強烈なボディホラーとして描いています。観客に「老い」という普遍的な恐怖を突きつけ、現代社会が抱える問題を浮き彫りにしています。
エリザベス・スパークルのキャラクターモデルになったのは?
特定のモデルとなった実在の人物はいないとされていますが、監督のコラリー・ファルジャは、ハリウッドに存在する女性に対するエイジズム(年齢差別)やルッキズム(外見至上主義)といった問題から着想を得て、このキャラクターを創造したとしています。
作品のテーマに通じる、いくつかの要素や人物像がインスピレーションの源になった可能性は指摘されています。
ジェーン・フォンダ:
かつて人気女優であり、後にフィットネスビデオで成功した経歴が、劇中でエアロビクス番組の司会を務めるエリザベスという設定に影響を与えたと監督は述べています。
グウィネス・パルトロウ
エリザベスと同様にセレブリティであり、美容業界でのビジネス展開で知られる彼女を連想する声もあります。
デミ・ムーア自身の経験:
主演のデミ・ムーア自身も、ハリウッドにおけるエイジズムや外見へのプレッシャーを感じており、エリザベスの内面的な葛藤に共感したと語っています。
まとめると、エリザベス・スパークルは、特定のモデルがいたわけではなく、ハリウッドや社会全体に存在する女性に対する美の基準や年齢差別の問題を象徴するために作られた、架空の人物です。
今作品はAmazonプライムで見ました。
サブスタンス あらすじ(ネタバレ)
今や見る影もないハリウッド映画スターのエリザベス・スパークルは50歳の誕生日に、長年のレギュラーであったエアロビクス番組から、テレビプロデューサーのハーヴェイによって突然降板させられた。錯乱状態のエリザベスは自分の看板が撤去されるのに気を取られ、交通事故を引き起こす。幸い軽傷であったものの意気消沈するエリザベスに、男性看護師が密かに「サブスタンス」という名の違法薬品を宣伝するUSBメモリを渡す。それは若さと美しさ、より完璧な自分を得られると謳うものであった。一度はUSBをゴミ箱に捨てるが、好奇心に駆られたエリザベスはUSBに記された番号に電話するのだった。
電話で指定された廃ビルにて「サブスタンス」を持ち帰り、説明書通りに薬品を注射するとエリザベスの背が裂けて、スーという若い女性が現れた。若さと美貌、エリザベスとしての知識を備えたスーはエリザベスの上位互換的な存在となる。スーはやがて名声を得て、ハーヴェイから大晦日番組の司会に抜擢される。スーは名声によって、快楽的な生活を過ごす中でエリザベスは自信を持ち始めたが、引きこもるようになる。
エリザベスとスーは1週間毎に身体を交換しなければならず、老化を防ぐためにエリザベスの脊椎から抽出された安定液を注射し続けなればならなかった。
エリザベスとスーは互いに別々の人間として見るようになり、軽蔑し始める。スーはエリザベスの自己嫌悪と過食生活を毛嫌いするようになり、1週間毎の身体の交換を拒むようになる。
3ヶ月後、大晦日番組前日にスーは安定液が供給できなくなった。一時の快楽のためにエリザベスから安定液を過剰に抽出した為である。スーはサブスタンスの業者に連絡したが、安定液を補充するためにエリザベスの身体が必要であると伝えた。エリザベスに戻ったものの、その姿は猫背の老婆と化していた。スーの暴走を抑えようと分身であるスーを死滅するための血清を注射しようとしたが、若さを保つために再びエリザベスはスーを目覚めさせた。自身を殺害しようとしたことを知り激昂したスーはエリザベスを撲殺してしまう。
エリザベスを失ったスーの身体は衰弱していく。錯乱状態に陥ったスーは更に優れた肉体を得ようと残っていたサブスタンスを注入した結果、スーの肉体に無数の臓器やエリザベスの顔が貼り付いた怪物「モンストロ・エリサスー」に変貌する。エリザベスのポスターから切り取ったマスクを被ったエリサスーは大晦日番組のスタジオにやって来たが、彼女の姿を見た観客達はその醜さに絶句し、混乱し始める。スタジオの関係者がエリサスーの頭部を切断したが、さらに頭部は変異を続け、片腕が取れて、スタジオ一帯を血飛沫で染めた。
エリサスーはスタジオから飛び出すが、止まらない細胞変化に肉体が耐えきれずに破裂していき、路肩で倒れ肉体が完全に崩壊。崩れ落ちた肉片から浮き出たエリザベスの顔がハリウッド・ウォーク・オブ・フェームの自分の名前が埋め込まれた星の上に這い上がった。エリザベスの顔は周囲の観衆から称賛を受ける幻覚に微笑みながら血痕と化し完全に事切れた。翌日、エリザベスの血痕は床洗浄機で払拭された。
サブスタンス スタッフ
監督:コラリー・ファルジャ
脚本:コラリー・ファルジャ
製作:コラリー・ファルジャ,ティム・ビーヴァン,エリック・フェルナー
製作総指揮:アレクサンドラ・ロウイ
音楽:ラファティ
撮影:ベンジャミン・クラカン
編集:コラリー・ファルジャ,バランタン・フェロン
製作会社:ワーキング・タイトル・フィルムズ
配給:ギャガ
サブスタンス キャスト
エリザベス・スパークル / モンストロ・エリサスー:デミ・ムーア
スー:マーガレット・クアリー
ハーヴェイ:デニス・クエイド
フレッド:エドワード・ハミルトン=クラーク
オリバー:ゴア・エイブラムス
トロイ:オスカー・ルサージュ
ダイナーの男:クリスチャン・エリクソン
男性看護師:ロビン・グリア
医師:トム・モートン
ディエゴ:ウーゴ・ディエゴ・ガルシア
サブスタンス:ヤン・ビーン(声の出演)
サブスタンス 予告編・無料動画
