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タンポポ|伊丹十三の脚本・監督による「ラーメンウエスタン」と称したコメディ映画。売れないラーメン屋を立て直す物語。

映画 タンポポ
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タンポポは、1985年公開の日本映画。伊丹十三の脚本・監督による「ラーメンウエスタン」と称したコメディ映画。売れないラーメン屋を立て直す物語。西部劇『シェーン』を彷彿させる設定で“ラーメン・ウェスタン”としてニューヨーク、パリなど海外でも大ヒットを記録。食べ物が出てくるシーンは60シーン、出てくる食べ物は100種類を超える「食べ物の映画」でもある。2009年にはこの作品のオマージュとしてロバート・アラン・アッカーマン監督による『ラーメンガール』が公開された。本作の主人公である山崎努も出演している。

タンポポ 映画批評・評価・考察


タンポポ

脚本:36点
演技・演出:18点
撮影・美術:18点
編集:10点
音響・音楽:8点
合計90点

伊丹十三監督の作品としては、本作公開の前年に公開された『お葬式』が異例のヒット作となったこともあり前評判は高かったものの、興行成績は『お葬式』の半分程度の水準にとどまりました。しかし、一部のマニアックなファンや日本国外からは支持され、特に日本国外での反響が高く、アメリカでの興行成績は邦画部門 第2位となっています。エドワード・ノートンは本作をお気に入りの一本と公言しています。この映画を見て日本通になったり、あるいはラーメン店を開業する外国人も出現した。なんとなくキアヌ・リーヴスも見ていそうです。

伊丹映画の中でもファンが好きな作品トップ3に入るのでは?
僕はこの作品のサブストーリーである 走る男(井川比佐志)の物語にとても感動しました。死に際のチャーハン。最後の母ちゃんの意地、そして愛を感じる素晴らしいシーンでした。

タンポポ あらすじ(ネタバレ)

雨の降る夜、タンクローリーの運転手、ゴローとガンは、ふらりと来々軒というさびれたラーメン屋に入った。店内には、ピスケンという図体の大きい男とその子分達がいてゴローと乱闘になる。ケガをしたゴローは、店の女主人タンポポに介抱された。彼女は夫亡き後、ターボーというひとり息子を抱えて店を切盛りしている。ゴローとガンのラーメンの味が今一つの言葉に、タンポポは二人の弟子にしてくれと頼み込む。

そして、マラソンなど体力作り、他の店の視察と特訓が始まった。タンポポは他の店のスープの味を盗んだりするが、なかなかうまくいかない。ゴローはそんな彼女を、食通の乞食集団と一緒にいるセンセイという人物に会わせた。それを近くのホテルの窓から、白服の男が情婦と共に見ている。

“来々軒”はゴローの提案で、“タンポポ”と名を替えることになった。ある日、ゴロー、タンポポ、ガン、センセイの四人は、そば屋で餅を喉につまらせた老人を救けた。老人は富豪で、彼らは御礼にとスッポン料理と老人の運転手、ショーヘイが作ったラーメンをごちそうになる。ラーメンの味は抜群で、ショーヘイも“タンポポ”を町一番の店にする協力者となった。ある日、ゴローはピスケンに声をかけられ、一対一で勝負した後、ピスケンも彼らの仲間に加わり、店の内装を担当することになった。ゴローとタンポポは互いに魅かれあうものを感じていた。

一方、白服の男が何者かに撃たれる。血だらけになって倒れた彼のもとに情婦が駆けつけるが、男は息をひきとった。--やがて、タンポポの努力が実り、ゴロー達が彼女の作ったラーメンを「この味だ」という日が来た。店の改装も終わり、“タンポポ”にはお客が詰めかけ、行列が続いた。ゴローはタンクローリーに乗ってガンと共に去っていく。

タンポポ スタッフ

監督:伊丹十三
脚本:伊丹十三
製作:玉置泰,細越省吾
音楽:村井邦彦,本多俊之,向谷実,安西史孝
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団,小泉ひろし,安西一陽
撮影:田村正毅
編集:鈴木晄
ヘアメイク:雑賀健治
制作:ニュー・センチュリー・プロデューサーズ
製作:伊丹プロダクション
題字:味岡伸太郎
配給:東宝

タンポポ キャスト

ゴロー山﨑努
タンクローリー運転手。かつてはボクシングジム笹崎拳所属のウェルター級ボクサーだった。「タンポポ」を日本一のラーメン屋にしようとプロデュースすることになる。
タンポポ宮本信子
しがないラーメン屋の店主で未亡人。夫が営んでいたラーメン屋を見よう見まねで受け継いでいた。ラーメンはなかなか上手く作れないが、家庭料理の腕前は美味しく、特に漬物はゴローも認めるほど。ゴローと二人三脚で美味いラーメン屋になろうと努力する。
ガン渡辺謙
ゴローと一緒にタンクローリーに乗っている助手的相棒。タンポポの西洋風調理服を作る。冒頭の車中にてラーメンの食べ方が書かれた本を読み聞かせしたことでゴローと共に我慢できないほど腹を空かせてしまい、タンポポのラーメン屋に偶然立ち寄る。

メインストーリーに関わる人たち


タンポポを手助けする人
ピスケン安岡力也
ヤクザまがいの土建業者。タンポポとは幼馴染で、毎晩子分連れで店に押し掛けてはしつこく交際を迫っているが、根は一本気で潔い性格。ゴローと一対一で決闘した後に和解し、店のリフォームを引き受け、タンポポに自らの創作メニュー「ネギソバ」を提案する。タンポポに「ケンちゃん」と呼ばれている。
センセイ加藤嘉
ホームレスたちのまとめ役。元産婦人科医だったことからゴローたちから「センセイ」と呼ばれる。病院院長だった頃にラーメン好きの食道楽のせいで病院を妻と事務長に乗っ取られた。ゴローの紹介によりタンポポの指導に当たり、主にスープを担当する。
ショーヘイ桜金造。
モチをつまらせる老人の運転手兼料理人で怪しい関西弁を話す。愛人が銀行に行く際にも運転している。ラーメン好きで、主に麺を担当する。
モチをつまらせる老人大滝秀治
蕎麦屋で愛人に止められていたすべてのメニュー(天婦羅そば、鴨南蛮、お汁粉)を注文する。お汁粉のモチを喉に詰まらせたところを居合わせたタンポポたちに助けられる。お礼として彼らを自宅に招いてスッポン料理を振舞った上、ショーヘイを仲間に加える。愛人からは「先生」と呼ばれている。

タンポポが偵察に訪れるラーメン屋など
大三元のおやじ久保晶
タンポポの店の近くのラーメン屋で働く。一応繁盛しているが、ゴロー曰く「味は大したことない」。
弟子たち兼松隆,大島宇三郎,川島祐介
大三元の店員たち。強面で私語や無駄な動きが多く、やたら声だけはでかい。
中華街のおやじ高木均
それなりに美味いラーメンを作る。タンポポにスープの作り方を教える代金として100万円を要求する。
その隣のおやじ二見忠男
中華街のおやじの店の隣で中国の服や小物の販売店を経営。タンポポにスープの秘密をこっそりと覘き見させてくれる、ちょっと怪しげなおじさん。
日の出ラーメンのおやじ里木佐甫良
大三元とは対照的に描かれている美味いラーメン屋のおやじ。ゴローから陰でラーメンの味に太鼓判を押される。
その職人都家歌六
日の出ラーメンで働く。無駄な動きがなく無言で黙々と美味しいラーメンを作る。
味一番のおやじMARIO ABE
駅前の立ち食いラーメン屋を一人で切り盛りする。客の注文と順番を暗記する能力に長けている。
中華そば屋コック横山あきお
中国人らしくカタコトの日本語を話す。ラーメンには自信があるが、タンポポの口車に乗せられて麺作りの秘訣をうっかり漏らしてしまうお人好しな性格。

タンポポが出会うホームレスたち
小さい乞食辻村真人
親しみやすい人柄でおしゃべり好き。他のホームレスたちと同じく近所の料理屋の味を熟知している。
細長い乞食高見映
ホームレスになる前の職業などは不明だが、プロ並みのオムライスが作れる。
顔の長い乞食ギリヤーク尼ヶ崎
のんびりしたもの言いが特徴。「フランス料理は焦げ味との戦い」との持論を持つ。
太った乞食松井範雄
長年のホームレス生活によりいずれも食通揃いの乞食たちで、身なりは汚れているがよく笑う気のいいおじさん。
赤鼻の乞食佐藤昇
ワインに造詣が深い。メドック産の80年物のワインを飲んだ時の感想を話す。
合唱する乞食たち:日本合唱協会
タンポポを助けることになったセンセイを見事な合唱で見送る。

サブストーリーの登場人物


白服の男の関係者

白服の男役所広司
ギャング風で全身白色のコーディネイト。かなりの食通で、死に際にも料理について語る。冒頭に前口上風に現れ、その後も本筋とも脇筋とも全く関係なく唐突に登場場面が挿入される。
白服の男の情婦黒田福美
ボウルに入った生きた車海老を腹に乗せられるなど、白服の男の食道楽に付き合っている。
カキの少女洞口依子
海女。白服の男が一人で浜辺を訪れた時に、自身が獲った生ガキを食べさせる。

マナー講座の関係者
マナーの先生岡田茉莉子
西洋料理屋でのマナー講座で、生徒相手に決して音を立てながら食事をしてはならないと教えていたが、台無しになる。
マナー教室の生徒坪井木の実,根本里生子,他
マナーの先生の説明を受けるも、偶然近くで食べていた太った外人の食べ方こそ本場の食べ方と思って真似をする。
太った外人アンドレ・ルコント
西洋料理屋で行われていたマナー講座の近くの席で、パスタをすすったりげっぷを放つなどの騒音を出し、生徒たちが全員真似てパスタをすすって食べる元凶となった。

フランス料理店の会社役員たち
専務野口元夫
フランス語のメニューが読めず、部下の出方を窺う。一人称は「ぼく」。
常務嵯峨善兵
やはりフランス語のメニューが読めず、それほど腹が空いていないフリをしてごまかす。一人称は「わたし」。
課長成田次穂
専務、常務に続いて「ぼくも同じ」と言う。
部長田中明夫
困っている上司たちを見てボーイを呼び、「舌ビラメのムニエル」「コンソメスープ」「ハイネケンのビール」と手本を示す。全部のメニューが読めるかは不明。
課長高橋長英
ヒラ社員を雑に扱う上司。ヒラのちょっとした行動に露骨に嫌な顔を見せたり(神経痛でもないのに顔をしかめるなど。)、小突いたりする。
ヒラ加藤賢崇
見た目は冴えない鞄持ちだが、実は相当の美食家(フランス留学経験がありフランス料理を食べ慣れていた。そのことを課長を始め全員が知らなかった。)。上司たちを尻目に、慣れた調子で自由に料理を自由に注文する。
ボーイ橋爪功
フランス料理に無知な重役たちとヒラの注文時のやり取りを見て、部屋を出る際にほくそ笑む。

歯の痛い男の関係者
歯の痛い男藤田敏八
結構進行した虫歯のある男。歯医者帰りにベンチでアイスクリームを食べようとしたが果たせず、男の子にアイスクリームを譲る。
歯医者北見唯一
虫歯の治療に訪れた患者の治療中、歯髄壊疽により発せられる臭いに顔をしかめる。
その助手柴田美保子,南麻衣子
歯医者の治療を補助する。二人とも歯医者の助手にしてはややセクシーな服を着ている。
人参を下げた男の子海野喜一
母親に健康志向を強いられ首から、おやつ代わりの人参と共に「何も与えないでください」と書かれた札を下げる。
スーパーの関係者マネージャー津川雅彦
スーパーで働く。客が少ない夜の時間帯に店内で迷惑行為をする老婆を追う。
カマンベールの老婆原泉
上品な格好をしたお婆さん。スーパーの売り場のカマンベールや桃などの食品を素手で触って感触を楽しむ。

老紳士の関係者
老紳士中村伸郎
世間知らずの東北大学名誉教授を装って周囲をだまし、ただ飯にありつくのを生業にしているスリ。
連れの男林成年
老紳士に投資話を持ちかける怪しい男。投資させるために美味しそうな中国料理でもてなす。
刑事田武謙三
老紳士を張り込み、東北大学名誉教授を装う騙し方を「ワンパターン」と評して捕まえる。

走る男の関係者
走る男井川比佐志
サラリーマン。私鉄沿線の小さなアパートに妻と3人の子供と住んでいる。妻の臨終に駆けつけ、彼女を励まそうと「そうだ 飯を作れ!」と声を掛ける。
その妻三田和代
病で死にかけており、自宅に医師と看護婦が来ていた。夫の「飯を作れ」という声にフラフラと立ち上がり、チャーハンを作る。家族がチャーハンを食べる姿を見て幸せそうに微笑むと、そのまま倒れて息を引き取る。
医者大月ウルフ
「走る男」の死にかけの妻の診察に呼ばれ、家族の前で臨終を告げる。

その他の人物
ターボー池内万平(伊丹・宮本の次男)
タンポポの小学生の息子。いじめられていたがゴローたちのアドバイスでいじめっ子たちを見返し、のちに一緒に登校するほどの仲となった。
いじめっ子大沢健,竹中直人,田村淳一郎
ターボーの同級生。仲間と3人で、いつもターボーを殴る蹴るなどをしていじめる。
おめかけさん篠井世津子
モチをつまらせる老人の愛人。老人の体を気遣って食事をする店まで付き添う。
ラーメンの無斎先生柳太朗
ガンにラーメンの正しい食し方を教える。実際にはガンが読んでいる本の中の登場人物を作中で具現化したもの。
タクシーの運転手関山耕司
詳しくは不明だが、ガンに頼まれて同業仲間と共に自前のメイク道具を持ってタンポポにメイクする。
ピスケンの子分榎木兵衛,粟津號,大屋隆俊,瀬山修
ピスケンを慕い、ゴローとピスケンがトラブルを起こした時に加勢する。
白服の男の子分深見博,長江英和,加藤善博
最前列で映画を見る白服の男のために豪華な料理を小さなテーブルと共にセッティングする。
映画館のアベック村井邦彦,松本明子
映画館の上映直前に座席で音を立てながらスナック菓子を食べる男とその恋人。
守衛福原秀雄
ビルに入居する料理屋に細長い乞食が不法侵入した時に、警備のために見周る。
タンポポの客上田耕一

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